2014.10.31 のニュース
原油80㌦割れ直前で危機感強まる 産油国、石油開発投資に影響大
原油価格はWTIが81㌦/バーレルに、ブレント、ドバイが84~5㌦で推移しいる。6月末にはブレントが115㌦、ドバイが110㌦であったものが一気に30~25㌦の下落となった。油種間の価格差が縮小されており、80㌦ご台相場となり、80㌦を割り込むが否かがポイントとみられている。
原油の急落は、産油国の財政、石油開発投資など多くの問題点を抱え
ることになる。産油国の財政は80㌦が限界とみられ、11月27日のOPEC総会で減竟景でまとまるか否かが注目される。今後は産油国間の思惑も絡んだ動きも出るが減産となれば、総会前にも調整が行なわることになるとみられる。
減産で合意となればサウジの動向かポイントとなる。減産余力があるのはサウジのみであり、他の産油国が同調するかにかかってくる。一部産油国が増産で対応して増収人を狙
うと、調整が不調に終わり再下落との見方も出てくる。産油国も、これ以上の値下がりすれば財政破綻の危機感が高まっているが、各国の事情もあって調整は難航しそうである。
仮に減産で合意しても順守できるか疑問視されるため見通しは難しくなっている。
原油価格の下落の要因は、①中国、欧州経済の減速による石油需要の低迷、②地政学的リスクの緩和、③アメリカでのシェールオイルの増産により石油製品の輸出が実施される、
④OPECの減産が不調になる、など需給緩和が指摘されている。
一方、値上がりする要因は①これから冬場の需要期となるため石油需要が増加する、②地政学的リスクが発生する、③OPEC総会で減産が合意され順守される、などの要因が
あげられる。今後は値上げ、値下げの双方の要因が絡んで市場が形成されるが、さらに石油に需給とは関係なく、金融商品としての値動きをするため見通しは難しくなる。
中期的な見通しでは、80㌦割れが続けば、①生産コストの高い、深海での生産、シェールオイなどがコスト割れで生産停止に追い込まれる、②100㌦ベースを見込んで資産買収した生産油田は、操業が不可能となる、③探鉱、開発投資が見直しとなり遅れるため、埋蔵量が減少することになり、需給はタイトになる、などの値上がりするシナリオも根強い。だが、当面は需給は緩和して安値で推移しそうである。
しかし、地政学的リスクは、イスラム国の勢力拡大、イランの核問題、中東、アフリカなどでの紛争が再発することも予想されるため、一歩間違いが生じれば、急騰も予想されるため予断を許さない。
原油価格の値下がりは、OPEC産油国の財政破綻が問題となるが、同時に、大産油国であるロシア、アメリカ国内の石油生産業者、北海のイギリスノルウェーでの生産企業、メジャー、開発会社の業績は悪化する。そのため、値上がりを期待するは産油国と同じ立場にあり、その勢力も多い。
元売も原油価格の下落により、コスト安となり、マージンが増加するが、末端市況が先取りして値下がりすることになり、利益を吐き出す。
在庫評価格損が発生するため見た目の決算は悪化する、などの影響も出る。原油価格の下落は、物価を押し下げるため、需要が増加しで景気回復には寄与するが石油業界には多く
の問題が生じる。