日刊ニュース

2014.11.06 のニュース

SSも脱廉売競争へ舵切ろう

ガソリンの廉売行為がいつまで経っても収まらない。SS経営において量から質への転換が叫ばれるようになって久しいが改善しない。かつては精製・販売の両業界ともマージン圧縮に苦しむ時期もあったが、今年度の傾向をみると、製品マージンは精製が堅調なのに対して、販売業界は極めて厳しい状態だ。
 精製マージンの堅調さに対して販売業界内には様々な意見が内在しているが、最近は「ガソリン内需減の中、精製業は量から質へと転換に向かっている。我々も批判だけではなく、それに学ぶ必要がある」という声も聞く。今年4月以降、本格化したガソリン内需減は精製・元売にも大きな影響を与えている。直近は原油安によって在庫評価がマイナスに転じるため、収益確保に向けて尚更マージン確保の姿勢を崩さないだろう。
 資源エネルギー庁が発表した石油統計速報によると、9月のガソリン販売量は前年比2・6%減となった。6ヵ月連続の減販を記録し、この間の平均減販率は5.5%に達する。ガソリン内需減が始まった2005年度からの推移をみると、これまで最も減少した10年度でも前年比3.3%減、05~13年度平均では1.1%減にとどまる。今年度は消費増税、夏場の天候不順など特別な要因がみられたが、来年度も同様の出来事が起こる可能性は十分ある。今年度の減販を異常値、一過性のものと片付けることはできない。
 需要減が発生した市場では価格競争が鮮明化し優勝劣敗の世界になりやすい。ガソリン市場において公取委が初めて不当廉売で排除命令を出したのは06年度に和歌山で起きた事案で、ガソリン内需減が始まった翌年のこと。その後、07年の小山事案、さらに違反の疑いとして警告が09年の高知、13年の福井の2事案に対して出された。
 ガソリン内需減の中、SS存続のため売上高や利益率を維持する正しい方策はなにか。精製同様に適正マージンの回復であろう。ガソリンを集客の目玉にカーケアを強化し、生き残りを図る戦略が万能の解決策でないことは現場に近ければ近いほど実感している。依然として感情任せで採算を度外視した不毛な廉売競争をするSSもある。市場の変化をとらえ、脱廉売競争への意識が業界全体で高まらなければ、内需減の波にのまれてSS網の劣勢化は加速し、安定供給も危うくなる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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