2014.12.10 のニュース
原油急落、石油開発は大幅減益 連結決算は在庫評価損と重なり苦境
原油価格が70ドル割れの予想外の急落となり、石油開発業界は、減収、減益となり、業績悪化が心配となってきた。石油開発事業は原油価格の下落が即利益減となるため多くの問題点を抱えることになる。大幅な減益となると①油田開発のための資金手当てが厳しくなる、②原油安となると採算面から新規開発案件の採択が難しくなり見直しが求められる、③開発中のプロジェクトの見直しとなる、などの計画面からも問題が生じてくる。
さらに原油安が続けば、下期での業績の下方修正、中期計画の見直しが求められることになる。現在の原油価格水準では、赤字となることはないが、原油の急落は大幅な減益となる。原油安は石油開発業界は産油国、石油開発で利益を確保しているメジャーと同様に減益で厳しい立場となる。
原油価格の下落は、すべての物価を押し下げるため経済発展には好影響を与えるとして歓迎されるが、低位が続くと、産油国の財政破綻に影響することになるが、ロシアの経済破綻、アメリカのシェールオイルの増産にブレーキをかけるなどの問題点が指摘されている。
そのため原油価格が長期にわたって低位で推移することなく、近く反発する見方もあるが、その時期が何時になるかが分らない。過去の例をみても急落後は反発しているが、これも、どの水準で収まるのかは分らない。為替、他との金融商品との絡み、原油の需給面からみると80ドル程度が妥当との見方もあるが、夏場の値上がり局面では150ドル説、今回の値下がり局面では50ドル説が出るなど予想は当たらない。
原油価格が110ドル/バーレル、為替が100円/ドルという原油高、円安のため13年度、14年度上期までは好決算が続いたが、原油安で70ドル相場が続けば利益は30~40%の減益となる。
今までの元売の連結決算では、石油開発事業が原油高で好調で増益となっており、本業の石油事業、石油化学事業が不振で赤字となっていたが、これを石油開発の利益でカバーしていた。たが、ここで石油開発事業の業績が悪化することになると、元売の連結決算には大きく影響する。
石油開発は、今までは黒字であったため元売の連結決算業績を直撃する。さらに、石油事業は、原油急落で大幅な在庫評価損が発生するため、元売の連結決算の数字は赤字となる。石油開発事業の業績悪化と在庫評価損がダブルで加わることになると、大幅赤字となる。
石油開発は、原油価格が70ドルを割ることになっても赤字となることはないが、原油下落分が即減益となる。原油相場は、先物市況によって決まる。ただ、産油国との取り分は、産油国、油田毎の取引き契約によって違うが、サービス契約のように油価の変動と関係なく一定の手数料を得るケースもあるが、原油が値下がりすると石油開発会社の取り分は減少する。それだけに利益は原油次第となり、ハイリスク、ハイリターンとなっている。今までは原油高、円安のダブルで増益要因が効果を発揮して黒字に寄与していたことになるが、予想外の原油安で一転して石油開発の業績を悪化させることになった。
元売の連結決算では、原油安で在庫評価損が発生するため、10~12月期の決算赤字となる公算が強く、さらに石油開発が減益となるため、一段と厳しくなる。
原油相場は、石油会社が介入することはできないため、在庫評価損の発生を喰い止めることはできないため打つ手がない。赤字となっても、やむを得ないが決算上では赤字となる。在庫影響を除くと真水で黒字であれば、説明がつくため問題なないとの見方もあるが、決算で赤字となると株価、資金調達などにも支障が出るなどの問題も生じてくる。コストが下がっても適正マージンを確保して、真水では黒字を狙うことが重要となる。