2014.12.12 のニュース
灯油が増販、増益期待でシーズン入り 人手不足、過疎化問題は続く
関東地区も本格的な冷え込みとなり、灯油シーズン入りとなった。徳島で大雪のため村落が孤立するなど、異常気象が起きており、過疎地問題が提起されている。寒冷地では、灯油の荷動きが本格化しており、今後は関東、中部、関西の大消費地が冷え込むのを待つことになる。
灯油需要は天候次第で大きく影響するが、冷え込みが厳しくなることで増販を期待している。基調は電気・ガスヘの燃料転換で減少が続いており、今年も減少が続きそうである。寒冷地の暖房は灯油に限るとみられていたが、新築の住宅は電気、ガスに転換するケースが出てきた。灯油販売の将来は厳しい見通しとなる。
それでも灯油は天候次第の季節商品であり、寒冷地のSSでは冬場の灯油販売で一息つくことになる。スノータイヤの交換などの作業収入の増益要因となるが、人手不足も深刻
化しており、灯油の配達が難しくなっている。復興事業の公共事業が増加しているが、工事を受注しても人手不足で工事が出来ないケースが増加しており、その影響もあってSS
も人手不足となっている。それらはセルフSSで対応しているが、灯油となると配達が主流であり、人手不足となると灯油販売が成立しないことになり、SSでは深刻な問題とな
っている。
灯油は人手不足という問題を抱えているが、採算販売によるマージン確保も重要である。SS店頭では、ガソリンの増販を狙って灯油を目玉商品として安値販売が実施されたが、最近は灯油の安値販売は下火となってきた。SSでは灯油もガソリンと同様のマージンを確保する価格体系となってきた。
HC、量販店では、灯油の安値販売どガソリンの増販に結びつける商法が展開されるが、安値にしても灯油需要は増加することはなく、灯油の安値販売は自粛方向にある。
幸い、灯油価格も値下がりとなっているため、追い風となる。ガソリンと同様に価格競争が展開される心配もあるが、灯油については、冬場という季節商品であるため、適正マージン確保で販売業者の足並みが揃いそうである。当然、価格競争は避けるべきである。
一方、灯油販売では、過疎化問題が提起されており、地方では、安定供給が求められている。SS経営は、減販とマージン減少による赤字のため撤退から加速して減少している。
一時はSSが過多であり、SSを減らすことで流通の合理が求められ、元売も不採算SSの閉鎖に積極的に取り組んだが、現在は減り過ぎて、地方ではSS不足となっている。
ガソリン、灯油などの需要減と自由化によってSSの減少は加速したことになるが、時代の流れには抵抗できない。止むを得ない面もあるが、安定供給という立場から国、地元の
市町村、石油業界で過疎化問題を検討する方向にあるが、今のところ問題提起に終わっている。地元自治体と石油業界と共同でSS、配達を運営するケースもあるが、過疎化に対
応するモデルは出来ていない。今後の問題となるが、石油業界としても、前向きで取り組むことになるが、不採算地区での経営となるため、国、地方自治体の支援を得ての対応となる。