2014.12.17 のニュース
仕切連続値下げで買い控えも 高値在庫を持つことを避ける
原油価格が急落しているため、仕切価格も連続して値下がり、先物、業転市況は連日の値下がりとなっている。そのため末端市況の相場づくりを難しくしている。ここにきて仕切価格が毎週3円/リットル程度の大幅な値下げが実施となっており、2週間で6~7円の値下がりとなり、元売、販売業者、ユーザーとの間でかけ引きが行なわれている。
大幅な値下がりが見込まれると、販売業者、ユーザーに買い控えも出ることになり、需要期であるが荷動きも変則的となっている。
今が安値とみて買を入れて在庫を積み増ししても、翌日に急落すると逆ザヤとなるケースもある。最近の原油価格は下落傾向が定着しており、大口向けでは買い控えの動きも出ている。
また、掛売のケースでは、週毎に値下がりとなると、1か月単位の値決めでは、決済価格を決めることが難しくなっている、仕切価格が値下がり段階であるためユーザーからも値下げ要求が出ておりルールを決めて値決めしているが、大幅値下げとなると、説明が難しく、説得にも時間がかかる。
それでも値下げ折衝となるため、値上げ時とは違い気楽な面もある。だが、仕入段階では、買う時期の市況によっては、大幅な価格差が生じるため、そのタイミングが難しくなる。値下がり局面となると、購入した時点の相場が高値となり、結果的には高値在庫を常に持つことになる。
灯油などは、夏場での高値在庫を持つことになり、売りに出ると、足元の市況が下落しているため逆ザヤで赤字という状況となる。本来は、夏場が安く、冬場に値上がりを見込んで在庫を積み増しするが、今年は冬場に値下がりする予想外の展開となっており、裏目に出たことになる。
夏場では、安値とみて冬場での値上がりを予想して在庫で積み上げたが、市況が下落したため赤字となった。何時までも在庫を持って値上がりを待つには限界もあり損切して販売したことになる。さらに足元も値下がりが続いているため、今後の後半の灯油商戦も難しい局面となっているため買い控えで対応している。そのためか末端市況も値下がりしているが、大きく値崩れしていないのは、高値在庫を持ち込んでいる業者も多く、簡単に値下げできない事情もある。
ガソリンも仕切価格が値下がりしているが、SSの在庫は、回転が早いため、高値在庫を多くを持っていることはない。それでも時間的なズレで高値在庫を持つことになる。仕切価格は、連続して値下がりとなると、在庫は値下げ以前の高値在庫を持つことになるため、直ちには値下げができないことになる。
値上げ時期には、SSの在庫に値上がり前の安いガソリンの在庫が残っており、それを売切ってから値上げするとして、ユーザー転嫁が遅れることもある。値下げ局面では値下げを遅らしているケースもあるが、価格競争地区は、先取りした値下げをすることになる。今回のような原油価格の急落は予想外であり、販売業者では戸惑いをみせている。仕入時の仕切価格をチェックしているが、一般的には計画配送のSSも多く、買い控えができないケースも多い。
今後も値下がりするか否かは分らないが、まだ下落するとみて買い控えムードが残っている。原油価格は60ドルを割って57ドル(WTI)に下落しているが、ここが底値とみるのかは不透明である。
今回は原油価格は、6月が110ドル/バーレルであったものが、足元は60ドルを割り50ドル台へと値下がりとなっている。
前回の急落は、08年の急落は原油価格が7月が145ドルから、年末には30ドル台と100ドルの急落を経験し、これに次ぐ下落となるが、過去の経験は、あまり参考になっていないようである。
逆に3月には消費税の増税を前にして仮需要が発生している。ガソリン販売は前年比で8%の増販となったが、その4月販売、値上がりと仮需要に反動で8%の減販となった。3月のように増税による値上げで仮需要が発生することは想定ができるが、今回の原油価格の急落による買い控えは、初めてである。
原油価格は60ドル/バーレルを割ってWTIは57ドル台となってきた。ドバイも60ドル割れとなっており、どこまで値下がりするのかは、ますます不透明となってきた。