日刊ニュース

2014.12.26 のニュース

原油価格はOPECの減産がポイント 産油国とシェールガスの我慢比べ

 原油価格の下落でガソリンなどの石油製品の値下がりが続いているが、原油価格は今後、上昇するか、下落するか見通しが難しいため、市況対策の原油価格をみながらの対応となる。
 ガソリン商戦は年末も押し迫り、末端市況は底固めの時期となってきたが25日から3円/リットルの値下げとなったため、下げ止めが難くなるのか流動的となってきた。
 末端市況は、夏場は140円相場から足元は安値が133~5円となり、安値割引き販売となると130円割れの129円となっている。170円相場に比べると大幅な落ち込みとなり、ユーザーも安値感を持つことになり、需要も回復の兆しをみせている。120~30円となれば、需要が戻るのではないかとみられていたが、市況が急落が好材料となり需給回復が現実となってきた。
 しかし、原油価格は予想外の下落であり、いずれは原油は反発するか、その時期は分らないが、値上がりを見込んだ準備が必要となる。現在の50ドル台が、さらに下落するのか、今が底値で、今後値上がりするかは、分らないが、過去の例からみてこの安値が長期にわたることはないとみられている。
 今回の原油価格の下落は、OPEC総会での減産見送りを機に急落したが、一般的には、①シェールオイルの増産を止めるまで原油価格を引き下げる、②ロシア、イランなどの産油国などへの経済制裁を狙ったもの、などの見方もあるが、サウジなど産油国でも収入が半減することになれば、財政面では厳しくなる。
 産油国とシェールオイルの増産との我慢比べとなるが、これ以上安くなれば、石油の新規開発は見送りとなるため減産となり、需給が締まり、原油価格は値上がりする。その結果、消費国の経済は悪化するというパターンが繰り返されることになる。ここまでくればV字で急騰することを期待する見方もあるが、この低水準は、産油国、消費国の経済からみればマイナスとなる。
 原油価格の下落は過去には1986年頃、オイルショック後の高値で需要が減少、非OPECの北海など増産で供給増となり、サウジがネットバック方式の価格設定を行ない対応したが、アラビアンライトは9ドル台となった。
 ついで98年頃には、アジア危機で新興国の需要減少、OPECの生産枠を拡大したため需給が緩和して10ドル割れとなった。3回目の08年の7月には先物市場の急騰でWTIが145ドルとなったが、その後にはリーマンショックを機に急落して年末には30ドル台まで下落した。当時も価格は需給でなく先物市場で決まるため、先物のあり方が問題となったが、現在も先物市場で決まっている。
 今回は、これに次ぐ4回目の急落となり、世界の需要は減少傾向にあるが、アメリカでシェールガス・オイルの増産により輸出国から輸出国(製品輸出)に転じた、OPEC生産枠(3000万バーレル/日)を維持した、などから需給緩和が要因となっている。今までも需給は緩和傾向にあったが、地政学的リスクが発生しており、緊張感が続いたため100ドル相場が続いたが、地政学リスクが緩和したことで急落した。
 過去の急落時はOPECが減産で対応、需要増加で反騰した。今回は需要の増加は望めないので、OPECの減産かシェールオイルの減産となりそうであるが、その時期がいつくるかがポイントとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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