2015.01.08 のニュース
石油業健全化への気概を問う
新たな年が幕を開けた。ちょうど1年前の本欄で、2014年を「良かったと回顧できる年でありたい」と願ったが、残念ながら業界利益の確保には至らなかった。各地で自然災害が重なり、石油製品の役割に対する社会認識はさらに高まったが、販売業者の健全経営が伴ったとは言い難い。災害時対応力を強化する前提として、エネルギーを供給し、安全・安心を提供し続ける地域インフラの運営基盤が平時から安定していることが不可欠である。
国内石油市場は昨年、需要減と高値圏が続く中での価格変動に振り回された。レギュラー全国平均小売価格は年末に150円の大台を約2年ぶりに割り込み、夏場のピーク比では21円もの下落となったが、年平均価格は163円と前年より7円高で終わった。ダブル増税の影響も含め、消費マインドを一層冷え込ませた一因だろう。他方、そのコストは原油価格と為替に大きく左右されるため、いかにしても経営努力が及ばない部分もある。そのうえ、石油には過重な諸税が課せられている。
特に年後半は値下げ局面が23週連続にわたり、ガソリン価格は目まぐるしく変わったが、量販店はあきれるほどにマージンを削り、採算販売を指向したSSは需要を削り取られた。こんな構図が際立った1年ではなかったか。クルマが徐々に、しかし確実に低燃費車へと置き替わり、使い方や乗り方が変わり、“電動”エネルギーの導入も加速している中、今年も量販ありきのビジネスモデルを突き進めばどうなるか。消耗戦が続くのは目に見えている。
こうした中で、元売各社は石油事業以外の柱づくり、同業他社との連携、海外展開などを積極化している。国内市場に対する危機感を象徴しているように映るが、ならばこそ、まずなによりも、本業の根幹をなす石油市場の安定化に尽力してほしい。わずか数社で、何万という系列SSを擁する自身の行動がもたらす影響力は、絶大だ。そして我々の期待は、過剰設備の解消だけにとどまらない。
いまや販売シェア2割に達した子会社に対し、一般特約店ルートは縮むばかり。偏重が過ぎれば、全国を網羅する安定供給はおぼつかない。この重責を遂行するために、今年こそ“気概”を示し合い、多様な経営母体の販売業者がそれぞれの地域で社会的責務を果たし続けていく基盤を整える。この主旨に賛同いただきたい。