2015.01.13 のニュース
負担増を阻止した税制改正
衆議院総選挙に突入したため2015年度に向けた与党の税制改正大綱は、例年より1ヵ月ほど遅れて12月30日に決定した。これで歳入の見通しが立ったことになり、次は歳出である予算大綱が今月中旬に決まる予定だ。
さて、その税制改正大綱では石油業界関連として地球温暖化対策税の使途拡大が見送られたほか、船舶や鉄道、農業用動力源などとして使用される軽油に係る軽油引取税の課税免除措置が3年間の延長となった。沖縄県におけるガソリン税の軽減措置も5年間の延長となった。これらの措置は全石連と油政連が強く要望していたもので、全国各地での運動が功を奏した。
地球温暖化対策税は石油石炭税に上乗せされる税で、3段階目として来年4月に0.26円が上乗せされ石油石炭税と合わせた税額は1㍑当たり2.8円になる。これにより増収となる年間2600億円が省エネや再生可能エネルギーの普及などのCO2排出抑制対策や、それを負担している業種への支援措置に使われることになっている。
農水省などはその増収分をCO2の吸収源対策といわれる森林整備対策にも使えるよう求めているのだが、これが認められれば膨大な予算が必要となり、足りなければさらなる増税が懸念される。このため全石連・油政連は断固反対の運動を行ってきた。大綱では温対税の使途拡大ではなく「別の新たな仕組みを考えろ」という裁定になった。
軽油引取税の免税制度はその税収を道路特定財源として使用していたことから、道路以外に使う軽油は課税を免除してきた。それが一般財源になったことで免税の理由がなくなったが、減税廃止となればこれまで軽油を利用してきた鉄道や船舶などの業界には深刻な影響が及ぶ。そのため業界は軽油ユーザーの負担増回避のため措置の延長を訴えてきた。
今回の業界による税制改正運動は、沖縄のガソリン税減税措置の延長も含めて燃料を使うユーザーの負担増を阻止するための運動であり、ひとまずその流れは止めた。
しかし、最大の負担軽減策でもあるガソリン税・軽油引取税の旧暫定税率の廃止という要望は今回、見送りとなった。消費税の10%への増税で税の二重取り状態のガソリンユーザーの負担はとりわけ大きくなる。税負担の減少に向けた運動は引き続き業界の大きな課題となっている。