2015.01.15 のニュース
過当競争が制御される時代
往時には15社を数えた元売は、その数の多さが文字通りの過当競争を招いて収益悪化が常態化し、30年前の1985年に昭和シェル、翌86年にコスモが誕生して合併集約が始まった。同時期に原油市場でのシェア防衛を目的に、サウジアラビアが公式販売価格からスポット価格連動のネットバック方式に移行、原油相場は1バレル30㌦台から10㌦そこそこにまで下落した。
90年のイラクのクウェート侵攻、湾岸戦争へとつながる中で、原油は20~30㌦という安定基調に入ったが、97年後半から供給過剰による10㌦割れへの相場崩壊を招き、翌98年にはメジャーの中でもBPアモコ、エクソンモービルなどという大合併が相次いで合意され、国内でも2000年を挟んで日石三菱、東燃ゼネラル、エクソンモービルが誕生、元売は11社になった。
脱石油政策に地球温暖化防止対策が加わり、成長領域が八方ふさがりとなった国内石油産業は、ここからカウントダウンに入り、原油が08年7月の過去最高値150㌦寸前から同年末の40㌦割れという暴落局面を経て、現在の超大手1社、大手4社、中堅2社の計7元売となったが、さらなる合併集約を告げる報が年末に駆け巡った。もはや元売は2社グループまで集約される方向とまで踏み込んだ解説さえあった。昨年の中東産原油は6月下旬の111㌦から年末には53㌦まで下落、年明けの近況は50㌦割れという半値以下となっている。過去の合併集約時と同様に、原油相場の暴落という現実要素を踏まえると、なにかが起こりそうな2015年といえる。
想像力をたくましくして、仮に2元売グループとなった国内市場は、どのような姿を示すのだろうか。
供給過剰による損益毀損を、他社に被せるわけにはいかなくなるだろう。系列特約店やSSを疲弊させるPB勢力の増長を看過できなくなるだろう。2元売は安定した国内収益を基盤としアジアを視野に入れた総合エネルギー企業へと昇華するだろう。子会社が運営するSSが、顧客の誤認を誘発する最安値訴求型の多重看板を掲げたり、年中無休・24時間営業でSSスタッフを消耗させるようなブラック企業・店舗でなくなるよう、文字通り系列SSのモデルとなる努力を積み上げるだろう。小売市場における過当競争が制御されやすくなり、系列SSの疲弊にも終止符が打たれるだろう。