日刊ニュース

2015.01.23 のニュース

灯油は急落局面でマージンは確保 大手は高値在庫を持ち苦戦

 灯油商戦は、2月末までのシーズン終了を前に後半戦に入った。季節商品であるため、売買のタイミングが勝敗を分けることになるが、前半は原油価格が急落したため市況も下落する局面が続いている。
 例年の灯油商戦では、不需要期の夏場が安く、冬場に値上がりするとみて、夏場に在庫を積み増し、シーズン入りでの値上がりで、まず利益を確保するのが通常の流れとなっていた。価格体系も冬場は「灯油高のガソリン安」に変わり、灯油が優位となったが、今冬は原油の急落からガソリン、灯油が同時に値下がりするという予想外の展開となった。とくに12月は灯油のみ値上がりするケースもあったが、大幅な値下がり、1月も連続値下げとなりガソリンとの価格差は縮小されている。
 そのため大手の灯油専門の卸業者は、自社でタンクを保有して、夏場が安いと見込んで買い込み在庫を持っていたが、市況の下落で、常に高値在庫を持つことになり厳しい状況となった。早目に高値在庫を売り切ったが、さらに値下がりが続いている。
 一方、在庫を持たない中小業者は、その都度、元売から仕入、ユーザーに販売することでマージンを加算して販売しているため値下がりのリスクは回避されている。ただ、ユーザーからの値下げ要求が出て対応するケースでは、仕切価格が毎週値下がりしており、掛売の決済では苦慮している。また、大口の入札の場合も月初めと月末では、仕切価格が大きく違ってくる。契約価格と納入時との間に、大きな価格差が発生するが、値下がり局面であるため、逆にマージン増となるケースも出てくる。
 小口の配達価格も値下げしているが、値下がりを遅らせることでマージンが確保できることになる。SS店頭売りは、ガソリンと同様に値下げを急ぐことになるが、ガソリンに比べて値下げが遅れている。
 原油価格をみると7月が110ドル/バーレルから毎月10ドル程度の値下がりとなり、12月初めには60ドルであったが、年末、年始で一段の下落で、足元は50ドルを割って47~8ドルとなっており約60ドルの下落となる。
 そのため灯油の仕切価格も連続して値下がりとなり、JXでは加重平均で10月は2.7円/リットル、11月が3.2円、12月が6.8円の各値下げ。出光は10月が4.1円、11月が4.6円、12月が9.6円の値下げとなっている。特に12月が大幅な値下げとなったが、1月も値下がりが続いている。
 仕切価格は東石商調査でみると9月が87円、業転が82円であったが、12月は70円、業転は64円となっている。足元は60円、業転は52円、先物は48円で推移している。
 一方、販売数量は10月は99万キロリットルで前年比で4.6%減、11月は166万キロリットルで14%減、12月は前年並みが見込まれている。12月は寒波が到来したため荷動きが活発化した。1月も冷え込みが厳しいが、基調は、電気、ガスヘの燃料転換が進んでおりマイナスが予想されている。
 在庫は、販売減を見込み、低位でシーズン入りしており、9月末は278万キロリットル、10月末は307万キロリットルで前年比で2.9%減となっている。11月末は327万キロリットルと20万キロリットルを積み上げたが、足元の石連週報ベースでは、248万キロリットル(10日)で
前年比では37万キロリットル減の低位で推移しており、需給は安定している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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