日刊ニュース

2015.02.09 のニュース

決算は赤字も在庫影響を除くと黒字 原油急落で大幅な在庫評価損が発生

 石油各社の4~12月期に決算が発表されているが、原油価格の急落で巨額な在庫評価の影響(評価損)が発生したため、大幅な赤字(純損失)となった。連結決算でみれば在庫評価損を除けば黒字となっているが、前年は在庫評価益が出ているため対照的な決算となっている。
 在庫影響は、セグメント別では「石油製品」が対象となり「総平均による棚卸資産の評価が売上原価が与える影響」としており、6月の110ドル/バーレルから8月の平均102ドル以降から急落して12月には50ドル台となったため評価損が発生した。
 各社は、備蓄義務で在庫を70日以上を保有しており、その在庫分が大幅な下落で評価損が発生したものである。自社の努力では対応が不可能であり、大量の在庫を保有する石油業界独自の会計処理となる。そのため分りにくい面もあるが、大幅な赤字計上しても株価には影響していないため市場では理解を得られていることになる。
 出光の4~12月の連結決算では営業損失が407億円となり、前年が818億円の利益であったため、相殺すると1226億円の大幅減益となった。うち原油急落で在庫影響が697億円の損失(前年は322億円の利益)が発生したため、これを相殺すると289億円の利益(498億円の利益)となる。前年に比べると207億円の減となる。在庫影響を除くと黒字となるが、決算上の数字は赤字となる。
 在庫影響(評価損)を受けるのは石油製品となるため、セグメント別でみると石油製品は営業損失は495億円(前年は322億円の利益)であったため816億円の減益となった。うち、在庫影響が702億円の損失となり、在庫影響を除く207億円の利益(前年は10億円の利益)となり196億円の増となる。在庫影響を除くと前年よりも増益となる。
 JXの連結では、経常損失は1715億円(2559億円の利益)となり、前年比では4274億円の大幅減益となった。うち在庫影響が2920億円の損失(971億円の利益)となり、この在庫影響を除く1205億円の利益(1588億円の利益)となる。セグメント別でのエネルギー事業でみると経常損失が2949億円(1126億円の利益)で4075億円の減益、うち在庫評価損が2938億円(938億円)になり、在庫影響を除き11億円の損失となる。そのうち石油製品は103億円の損失(赤字)となった。石油化学は92億円の利益となっている。
 通期見通しでは、1~3月の原油価格(ドバイ)を50ドル/バーレル、為替を120円/ドルを前提すると赤字幅が拡大すると予想している。原油価格は1月は50ドルを割って40ドル台に下落している。しかし、1月末から値上がりに転じており50ドル台に乗せたが、4日には、下落して再度50ドルを割るなど乱高下の様相を見せており流動的となっている。
 出光の通期見通しでは、連結では営業が1200億円、在庫影響が1370億円と増加するが、在庫影響除きでは170億円の利益を、うち石油製品は100億円の利益を見込んでいる。
 JXは連結では、経常損失が2100億円となるが、在庫影響が4300億円の損失となり、在庫影響を除く2200億円の利益となる。うち石油製品は310億円の利益を見込んでおり、在庫影響を除くと黒字となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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