2015.03.16 のニュース
「SSの力」を削ぎ落とす者
「最後の砦」として3・11東日本大震災の発災直後から、石油とSSは大きな力を発揮した。なにより被災者の最寄りでSSが稼働し、その稼働を人力で支えたSSスタッフの姿の総称である「SSの力」が、「最後の砦」の象徴となった。
2010年6月に決定された前エネルギー基本計画において、「引き続き経済活動・国民生活において欠かせない基幹エネルギー」に位置付けられはしたが、「政策総動員により、最大限の導入を図る」とされた原子力と再生可能エネルギーにシェアを削り取られる運命が決していた「石油」は、その7ヵ月後の大震災で力を発揮したことによって、14年4月に決定した新たな基本計画では、「今後とも活用していく重要なエネルギー源」との再評価を得た。
ところが3・11からの4年間で、「石油」も「SS」も衰弱の方向性を強めている。「石油」の衰弱の主要因は、まずその高価格であろう。3・11前後の4年間を比較すると、原油価格はバレル78㌦から102㌦へ、㍑49円から59円へと上昇、内需の減退に拍車がかかった。ガソリンではクルマの燃費が格段に向上した。さらには税金が上がった。元売収益も、被災実害が大きく長期化した元売もあるが、国内石油精製販売事業において3・11以前の正味収益を確保した年度はなく、ついには14年秋口からの原油急落によって、元売は巨額な在庫評価損を抱える事態となって、衰弱した姿を見せている。
一方の「SSの力」はさらに深刻の度を増した。昨年3月末時点の公式統計で、3・11後の丸3年間で、SS事業者数は2491社、SSは4071ヵ所の減少の履歴が残る。この間の新規をゼロとして1日当たり2・3社が廃業し、3・7ヵ所が閉鎖した勘定だ。3年間で8社に1社が廃業し、9ヵ所に1ヵ所の割合で閉鎖されたSS小売市場の惨状がくっきりと残る。
「SSの力」を大きく削いでしまった要因は、経営者の高齢化や後継者不在、さらにはSS施設が老朽・設備更新期を迎えたが故であろうか。内需の減退やエネルギー転換の故であろうか。確かにそれらも要因の一部ではあろうが、主要因の座に卸格差、業転格差、子会社SSの廉売が鎮座するのではなかろうか。そうした回答にならないよう、元売は業転との価格差を極小化する工夫を通じて、系列SSを支える方向を鮮明にすべきであろう。