2015.03.18 のニュース
灯油は値下がりも需要は回復せず 値下がり局面でマージンを確保も
灯油シーズンは終りに近づき、在庫調整に入った。シーズンを振り返ると、仕切価格は、夏場からの原油価格が連続して下落したため、仕切価格も連続して値下がりとなった。仕切価格の急落で販売価格も値下がりとなった。シーズン入りの末端価格は、SS店頭では108円/リットルであったものが、足元は85円(石油情報センター調査)となり、約20円の値下がりとなった。先物、業転市況は80円であったものが56~7円となっており予想外の展開となった。
原油価格(ドバイ)は6月が110ドル/バーレルであったものが12月には50ドル、1月には40ドル台となったが、2月に入り値上がり50ドル台へ戻した。足元は55~6ドルで推移している。40ドル台の1月が底値となり、その後は値上がりしたが、ここにきて小幅な値下がりとなり、見通し難となっている。
原油価格の急落で、灯油価格の値下がりとなったため、需要の回復が期待されたが、この見通しは外れた。今シーズンの灯油販売は、最盛期の11月が166万キロリットルで前年同月比14%減、12月が290万キロリットルで同じく14%減、今年1月は360万キロリットルで3%減となり、2月も減販となっており、販売数量は低調で伸び悩んだ。灯油の減販は予想されたが、販売価格が下落したため需給回復、増販期待が大きかったため、この予想が外れたことになる。
値下がりによって減販の幅を縮小したことになるが、販売価格が下落しても、灯油は増販には結び付くことはなく、電気、ガスヘの燃料転換が進んでいることが実証されたことになる。SSの過疎化対策が問題となっているが、灯油は大切な商品であり安定供給が求められるが、減販によりSSが減少しているため過疎地への供給が難しくなっている。 灯油商戦では、仕切価格の値下がりが急であったため、末端市況の値下がりが遅れることになり、その間でマージン増となったため利益を確保したケースも出ている。寒冷地での販売業者(SS)は12月、1月では、仕切価格が大幅下落しており、増益となったようである。仕切価格の値下がり局面では、通常は、それ以上に末端市況を値下げして販売業者は利益を吐き出していたが、今回は在庫も低位であり需給が安定していたことも幸いして値崩れはせずに販売業者のマージンは確保されたようである。
しかし、大手案者は、市況急落で苦戦したケースも出た。従来のパターンで夏場が安く、冬場で値上がりするとの見方で商戦を臨んだが、冬場で下落するという完全に逆の値動きとなった。夏場で買い込み在庫を積み上げて、高値になった冬場で売り、その差で利益を確保する戦法は、完全に裏目に出た。冬場で逆ザヤとなり、11月時点で見切りをうけて売り切ったケースもあるが、在庫を持ち込むことは、赤字を増やすことなった。タンクを持っている大手業者は、苦戦することになり、タンクを持たず、元売から仕入れて即販売する小口の販売業者がマージンを確保することになった。
さらに2月では、仕切価格の値上がりとなったため、シーズン終了直前の値上げとなり、ユーザー転嫁が難しい状況となった。ここでも、大手販売業者はユーザー転嫁が困難となり、仕切価格値上がり分をかぶることになるなど苦戦となったようである。
小口販売業者が利益を確保したのに比べると、明暗を分けることになった。