日刊ニュース

2015.03.19 のニュース

SS過疎化を未然に防ぐ

SS過疎地問題が、国レベルでも取り沙汰されるようになってきた。これまでは、特殊な地域の特殊な問題として扱われることが多かったが、いまや、どこでも起こり得る全国共通の現象として認識されつつある。それはSSの減少が激しいスピードで進んでいることの証左でもある。
 SS過疎地と一口に言っても状況は様々だ。例えば、過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)におけるいわゆる“過疎地”とSS過疎地とが重複するのは、SS過疎地の3分の2にとどまる。東京都心部は“過疎地”ではあり得ないが、SS過疎の問題は進行しているというように、両者が内包する問題は根本的に異なる部分が多い。また、ある市町村内にはSSが極端に少ないが隣接する市町村には多数あって、SS利用に全く支障がないというケースのように、行政区画単位でSS過疎地の問題を括るのはもともと困難な面もある。
 とはいえ、対策が急がれるのは、やはりSS過疎地と過疎法の“過疎地”が重複している地域だろう。深刻な人口減少と高齢化が進む中で、需要を失ったSSが次々に撤退していく負のスパイラルに陥った地域は、外側から思い切った手を打たなければ浮上の契機すらつかめず、地元住民は生活環境そのものを失いかねない。国として今後5年先、10年先のSS過疎を考えるなら、人口減少と高齢化に苦しむ地域を想定した対策が優先されるのは理解できる。
 ただし最初にも触れたように、SS過疎地はいまや全国どこでも起こり得る業界全体の共通課題である。だとすれば、国の対策も広く業界全体に行きわたるものでなければならないはずだ。すでに発生してしまった現実のSS過疎対策はもちろん大切だが、そもそもSS過疎地問題そのものがこれ以上発生しないよう、既存のSSを守るという発想が、国の対策に具体的に盛り込まれてしかるべき時期ではないか。
 人口減少や高齢化が進む社会にあってSSに真に求められるのは、単にガソリンが給油できる機能だけではなく、灯油の戸別配達や、車のトラブルに際して相談に乗ってくれる車の町医者の役割など、昔ながらのフルサービスSSへの原点回帰だろう。国の対策はまずなにより、そうした役割を担ったSSの経営をいかに活性化させるかに重点を置いたものであってほしい。それがSS過疎化を未然に防ぐ、唯一の方策だからだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE