日刊ニュース

2015.04.02 のニュース

石油の構成比を増やしてもコスト面からは男会社の対応次第

 総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委(エネルギーミックス委)で電源構成の議論に入った。再生可能エネルギーと省エネルギーの議論を先行させ、残るは火力と原発の構成比となるが、原発の数字の議論は、地方選挙に入っているため、選挙後に遅れことになる。原発の構成比は40年、60年廃炉を前提にすると15~20%、再生可能エネルギーは20%~30%との案がでているが、ミックスの議論は地方選挙後に本格化する。 電源構成については、ベースロード電源としては、発電コストが低廉で安定的に発電ができ、昼夜を問わず稼動できる電源と定義つけて、地熱、水力、原発、石炭としている。ミドル電源は、発電コストがベースロード電源の次に安価で電力需要に応じて出力を機動的に調整できる電源として、LNGとLPG。ピーク電源は、送電(運転)コストは高いが電力需要に応じて出力を機動的に調整できる電源として、石油、揚水式発電をあげている。これに再生可能エネルギーは太陽光、風力としているが、いずれも一長一短がある。
 発電コストが安いのは原発、石炭で、高いのは石油、LNG、再エネとなる。温暖効果ガスの排出量は、原発、再エネはゼロ、多いのは石炭、石油、少ないのはLNGとなる。 石油については、「ピーク電源としても一定の機能を担う、今後とも活用していく、重要なエネルギー源となる」。としているが、1997年のIEA閣僚コミュニケでは「ベースロード用の石油火力の新設、リプレースは禁止する」と定められており、日本では、この枠組みを遵守している。その結果、新、増設はなく、古い石油火力が稼勤しており、東日本大震災時も原発の停止を受けて停止していた古い石油火力を再稼動させて供給確保に努めたことになる。このように過去にも地震などの災害時で原発が停止した時、猛暑で電力需要が急増した場合は、石油(C重油、生だき原油)が頼りとなり、オーダーが集中した。しかし、平時に戻ると石油がカットされている。
 そのため石油連盟では「エネルギーミックスにおける石油の重要性、電源ミックスにおける石油火力の位置付けを明確化にする」とのエネルギー政策への提言としてまとめており、平時から一定の需要を確保するよう要望している。
 しかし、コスト高を理由に石油火力は敬遠されることになる。仮に石油の引取増を要請して石油の構成比がアップして決めても、実際は電力会社との商取引き問題であるため、簡単ではない。コスト面からみて石油が割り高で不利となれば、数量確保は遵守できなくなる。電力は自由化でコストを保証する総括原価方式から市場原理方式を導入することになるとコスト面では厳しくなる。安定供給の立場から石油を確保するか否かは電力会社の判断となる。その時点での原油価格にもよるが。割高分には何らの助成策を求めるのか、料金に転嫁するのかの方策が必要となる。結局は、石油の構成を決めても確約はできないことになる。
 電源構成に占める石油の比串は、東日本大震災前の2010年は8%であったが、11年が14%に12年が17%へ増加しており、13年度は14%へ減少している。それでも受け入り量は増加しているが、石油に代わって石炭(13年)が28%、LNGが41%へと増加している。
 ちなみに前回の2030年の長期見通しでは石油は2%、原発が53%、石炭が11%、LNGが13%となっていた。
 今後見直しの議論が本格化するが、とくにLNGは、輸入量は10年の7000万トンが13年には8700万トンと2割の増加、輸人価格の高騰で輸入額は3・5兆円から7・1兆円と3・6兆円の増となり、安価での用達が求められているが決め手がないのが実態である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE