2015.04.13 のニュース
ガソリン採販こそが生命線
中小企業=98%、運営SS数1ヵ所=7割強||。石油協会が毎年実施している石油製品販売業経営実態調査の2014年度版(13年度決算期)からみた我が国における揮発油販売業者の平均像である。この傾向は近年ほぼ変わらない。だが一方、運営形態別にみると変化も現れている。直近データを過去5年間と比較すると、「元売系特約店」は減少傾向で28%となり、「元売系販売店」はほぼ横ばいで52%、「商社系販売店」は増加基調の5%、「プライベートブランド」は増加の一途で6%を超えた。「元売系」がなお全体の8割を占めているが、10年前の04年度は9割強だったことを考えれば、“脱元売”の動きが進んでいる格好だ。
敷地面積は「200坪以下」の小型SSが増えて全体の4割弱となり、セルフでも1割を超えた。ガソリン内需が減少を辿る中、販売量は多店舗展開する大手業者偏重の傾向がますます強まっている。中小ディーラーは油外販売の強化に努めてきたが、それでも設備や価格による集客力で勝る大手に水をあけられている。適正な燃料油マージン確保をより重視する所以もここにある。一方、大手も量を追えば低マージン化は不可避。売上高に対する粗利率を削り、販管費率・人件費率も落としながら対応しているのが実情だ。
石油販売業界の経営環境は、やはり厳しい。よって、廃業やSS集約に歯止めがかからない状況が続いている。そこで、異業種への進出・転換を計画する販売業者も少なくないようだ。同調査では、2割弱がその「計画がある」と回答。SS事業との関連性が高い車販、太陽光発電、不動産賃貸、自動車整備などが上位に挙げられている。だが同時に「SS事業よりも収益が見込める」との指摘も目立った。立地条件が良い、リスクが少ない、開業資金が少ない、遊休地対策などの理由よりも、“SS業の低収益性”を問題視していると考えられる。
灯油商戦もほぼ終わり、ゴールデンウィークの足音が聞こえ始めた。洗車需要をもたらす黄砂のピークも3~4月。天候に左右される商品・サービスに頼ってばかりではいられない。主力商品である「ガソリンの採算販売」が、SS存亡を左右する生命線だ。幕開けした新年度の事業展望に光を照らすためには、再投資可能な業界環境の整備が欠かせない。