2015.07.23 のニュース
国際公約から見える脱化石燃料
2010年のガソリン内需は5838万㌔㍑、燃料油合計は1億9725万㌔㍑。13年のガソリンは5523万㌔㍑、1億9320万㌔㍑。これらをベースにしたSSにとっての最悪のシナリオが、間もなく発動しようとしている。総合資源エネルギー調査会における輸送燃料多様化というテーマも、その一環であろう。
50年までに世界の温室効果ガスを10年比40~70%削減する。これはドイツ・エルマウサミットで採択されたG7のメッセージだが、これを当てはめると、日本はこのレンジの中で最大の70%削減という凄まじい数字が適用される。ガソリン1660万㌔㍑、燃料油5920万㌔㍑という数字になるものだが、その時代のクルマの動力の大勢は、おそらく化石燃料ではなくなっている。事実上のガソリンや軽油使用ゼロを目指す姿が想定できる。
併せて今年11~12月にフランス・パリで開催予定のCOP21に向け、日本政府は「30年までに13年比26%削減する」というメッセージを発信した。ガソリンは4090万㌔㍑、燃料油1億4300万㌔㍑というのがあてはまる数字だが、これについての石油業界の評価は、精製・物流・SSに至る国内の石油サプライチェーンの健全性が維持できるぎりぎりの数字、というものになる。ところが、この26%削減プランでさえ主要国の不評をかっているというから、さらなる削減率の上積みが求められる可能性もある。
こうした見通しを踏まえれば、必然的に3万3500ヵ所のSSを擁する1万6400人の経営者は、まもなく大きな決断をすることになる。石油に対する競合・代替エネルギーへの税における公平性を求める組織活動は必然だが、個々の事業においては、後継者不在による廃業という姿以外では、安心・安全な地域社会を支えるうえで、同一商圏内の同業が手を携える協業という選択肢も多くなるだろう。地域社会における事業の最適化を目指す異業種との提携・合併も選択肢となるだろう。
いずれの決断でも、本業が疲弊し尽くしてしまう手前で、できるだけ健全な姿のままで、次のステップを目指したい。「1+1+…=1」の姿、可能な限り個々の経営資源の強みを生かし合える姿で、30年、50年に向け、地域社会の中で協議を重ねる。そのために必要十分なSS支援体制が望まれる。