日刊ニュース

2015.09.03 のニュース

安定供給維持のための基本方針

 先週末閣議決定した「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」は、過疎化が進む我がSS業界に対し、さらには中小企業対策としても画期的な方針を示した。国とその出先機関や地方公共団体が、石油組合との間で災害時の燃料供給協定を締結している場合、平時からその石油組合や組合に参加している中小石油販売業者から随意契約や分離・分割発注などによって燃料調達するよう要請したものである。
 全石連・油政連がこの官公需問題で政治や行政への要望運動を強化したのは、あの東日本大震災からである。燃料不足が深刻化した時に県や市町村から石油組合や地場業者に対し、救急車などの緊急車両や病院、浄水場などの緊急時施設への燃料供給の要請が殺到した。
 これらの公共団体は、競争入札で落札していた販売業者と連絡が取れなかったり、その業者の在庫が枯渇したことから燃料調達が危機に瀕した。これらの団体は石油組合に助けを求め、石油組合は組合員のネットワークを活用して必要な燃料を探し出して緊急車両や施設に油を届けた。石油組合のチームワークが緊急事態を乗り越えたのである。
 その後、需給が安定化すると官公需は再び厳しい競争入札に戻り、震災時に連絡が取れなくなった事業者らが再び安値で落札するようになった。一方で、地方公共団体側は、災害時の燃料調達の安定化は必要だとして、地元石油組合に、災害時供給協定の締結要請が全国的に急増した。
 しかし、「普段は競争入札で域外の大手量販店などから安値で買い、災害時には協定を結んだ石油組合に安定調達を義務付けているのは疑問」との声も相次いだ。
 SS過疎化が進む中、災害協定を締結しても地元のSSがなくなればなんの意味もない。全石連や石油流通問題議員連盟などは「そんな事態に陥らないためにも地元の官公需要は、普段から地元SSから調達すべきだ」として国に配慮を求めてきた。
 基本方針の中でSSに配慮する理由について「災害時だけでなく、平時においても燃料供給が安定的に行われる環境を維持していくことの重要性に鑑み」と書いている。これは、究極の地域分散型のエネルギー供給インフラであり「最後の砦」であるSSを維持することを、国が官公需面で応援しようという表明である。我が業界はこの方針をもって、地方公共団体などに働きかけていかなければならない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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