日刊ニュース

2016.05.10 のニュース

再び証明されたSSの堅牢性

 熊本県内では、停電が震災発生から1週間経ってようやく解消された。断水は先週末時点でいまだ2万戸を超え、都市ガスの復旧は4割強にとどまるという。一方、経産省発表によると、SSは16日の本震直後には営業を確認できる数が一時県内全SSの7割を切ったが、1週間後には9割強まで回復した。
 製油所、油槽所が深刻な被災を免れたため、品薄感は比較的短期で解消された。灯油シーズンから外れたこともあり、SS店頭に長蛇の列ができた東日本大震災とは異なる側面をみせた。一方で停電が解消されるまでの1週間、緊急用車両の給油を中心に、非常用発電機を稼働させて対応した中核SSの活躍は、東日本大震災を教訓としたSS業界の大きな前進を示した。
 今回の震災によるSSの被害状況を見るにつけ痛感するのは、SSの“堅牢さ”である。防火塀の倒壊や計量機の転倒など、一時的に営業に支障をきたすような物理的損壊も散見されたが、ごく一部にとどまった。施設そのものが壊滅的な打撃を被ったような事例は、確認しうる限り1件も見られない。
 阪神淡路大震災の直後に、知る人ぞ知る1枚の写真が撮影された。一面の焼け野原と化した町並みの中にぽつんと残る、ほとんど無傷のSSの姿を写したその写真は、その後も“防災”をテーマとしたパネル展示では必ずといっていいほど紹介され、SSの堅牢性の象徴として語り継がれてきた。
 阪神淡路大震災に際して火災の延焼を食い止める形で示されたSSの堅牢性は、今回、2回の震度7に象徴されるような度重なる激震を経験したことで示された。中核SSとしての存在価値も、自治体が災害時協定を締結して資機材の貸し出しや緊急車両への給油を求めてくるのも、元をただせば災害に見舞われた時のSSの堅牢性に裏付けられている。激甚災害に毎年のように見舞われる現状下では、堅牢性はSSにとっての宝となり得る。
 しかしその一方で、SSの堅牢性にはとてつもないコストが伴う。消防法という規制の中で定められたスペックを実現していくには、相応の負担を強いられるということだ。東日本大震災における存在感も、今回の熊本地震における貢献も、そうした負担の上に成り立っている。そのことを、国にも一般消費者にも、常に訴え続けていく必要がある。

提供元:全国石油商業組合連合会
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