日刊ニュース

2016.07.08 のニュース

消耗戦の終焉を図ろう

石油販売業界最大の課題は、ガソリン小売市場の適正化である。過去から言われ続け、それでも漫然として変わらぬテーマだけに、適正化するわけがないと冷ややかに見る向きも多いが、ガソリン内需減が明確になる中、もはや喫緊の課題となっている。特にその思いは自由化政策以降、市場混乱に悩まされてきた中小零細SSにおいて強い。
 市場が適正化してもSSの運営形態が多様化し、かつてのような一律のマージン論は通用せず、SSが持つ能力によって価格差は続くことになる。ただ、現在のように中小SSの仕切り水準で、元売販売子会社が安売りする状況は異常であり、そうした低マージン競争はエネルギーの“最後の砦”と位置付けられるSSという社会インフラを劣化させる行為でしかない。
 特石法廃止後、旧エッソ石油がV―10という経営指標を系列SSに導入し、これが口火となった低マージン競争が過熱し、最初の10円が7円、5円、3円と、より低いマージンで経営できることが良いとされ、それが安売りを助長し、結果、多くのSSが再投資不能な状況に陥った。
 これまではガソリン内需減よりSS減少が急ピッチで進み、1SSあたりの販売量は伸びる余地があった。俯瞰すれば、自分の足を食う様な状態だが、ここ数年はそのSS減少率が鈍化し始めている。市場環境はより厳しい方向に変わりつつあり、量販型のSS経営は岐路に立たされようとしている。足元の市況悪化は①事後調整の慢性化による原価意識の低下②元売再編を前にしたシェア競争の激化の2つが指摘される。
 これに対して、今秋以降、資源エネルギー庁を中心に事後調整の是正を目指し、透明な仕切り指標づくりの議論が本格化する。さらに6月商戦をみると、JXが事後調整なしの岩盤仕切りを打ち出した効果で、小売市場の適正化が少し進んだ。来年4月にはJX・東燃ゼネラルとともに、今般ずれ込みが発表された出光・昭シェルも経営統合する運びで、2強体制が一気に誕生する見通しだ。
 市場の問題はなかなか思惑通りには行かないため楽観視はできない。ただ、変化の兆しはある。元売2強時代に入ってもSS間の競争は続くだろうが、その競争の中身を現在の消耗戦から生産性の向上につながるものへと変える必要がある。そうした意識変化を強く販売業者個々が持つべき時を迎えている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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