2016.07.08 のニュース
供給カバー率高めるために
熊本地震で電力、ガスなどのライフラインがストップする中、ガソリン、軽油、灯油などの石油製品は中核SSなどを通して供給が継続できた。特に、送電鉄塔の倒壊で地域全体が停電状態に陥った阿蘇地域では、自家発電機を備えた中核SSや小口燃料配送拠点が昼夜を問わず病院、避難所への燃料供給を行った。さらに、九州電力を応援するために全国の電力会社から集まった合計160台の電源車に、24時間体制で軽油を届け続けた。
5年前の東日本大震災では、長期にわたる停電がSSの復活を妨げた。店を開けることができたSSは手回し給油で対応したが、列をなす消費者のニーズに応えるのに時間がかかった。
これを契機に整備されたのが中核SSと小口配送拠点である。停電になっても発電機によって給油を続けられ、小型ローリーを備えた小口配送拠点も病院や避難所などに燃料を届けることが可能になった。現在、中核SSは約1700ヵ所、小口配送拠点は約500ヵ所登録されている。
全石連の河本博隆副会長・専務理事が6月15日に開かれた総合資源エネルギー調査会の資源・燃料分科会で「中核SSの供給カバー率は市町村単位で3割程度。今後どこで地震が起こるかわからない。要件を緩和し、中核SSの定義を広げ、供給カバー率を上げていくべきだ」と提案。
その翌日の全石連通常総会で就任した森洋新会長は、初めてのあいさつで「自家発電機を備えたSSが熊本地震で活躍し、SSの社会インフラとしての機能が広く認められた」として、全国のSSに自家発電機を備えるべきだと発言。この場に来賓として出席した自民党石油流通問題議員連盟の渡辺博道事務局長も「SSは地域に不可欠な社会インフラ。熊本地震で中核SSの自家発電機が稼働し安定供給できた。これを全国に広めるのが我々の役目」と全面支援していく考えを示した。
全国の石油組合のほとんどが地元自治体などとの間で災害時燃料供給協定を締結している。その組合員SSに自家発電機が備えられていれば、あらゆる災害に対応可能となることは間違いない。災害時にこそ必要となる緊急車両や緊急時重要施設などへの燃料供給網は、さらに密になり拡大する。こうした整備を進めることは地域でのSSの必要性がさらに高まるということでもある。