2016.12.20 のニュース
さらに重みを増す1円の口銭
日本エネルギー経済研究所による2016~17年度の短期エネルギー需給見通しは、需要減の顕在化を強く印象付けるものとなった。16年度内需はナフサの販売減や原発の再稼働増加に伴う電力用C重油の減少などによって、前年度比2.5%減の1億7610万㌔㍑と、47年ぶりに1億8千万㌔㍑を下回ると予測。17年度は原発の再稼働の一層の進展による電力用C重油の減少や、ガソリンや灯油などの需要減などが響き、1.9%減の1億7280万㌔㍑とさらに需要減が進み、内需のピークだった99年度(2億460万㌔㍑)から、実に3割もの需要が消失することとなる。
SS経営を大きく左右するガソリン内需は、16年度が14年夏以降の原油価格の暴落で、小売価格が値下がりしていることから一定の需要を喚起するものの、HVや軽自動車、小型車など低燃費車の普及・拡大が続いていることから、横ばいの5310万㌔㍑とした。17年度も低燃費車普及の長期トレンド影響で、1%減の5260万㌔㍑と需要減が進む見通し。ピーク時04年度の6148万㌔㍑から900万㌔㍑弱もの需要が消失する。
北日本を中心とした冬場の大きな収益源の柱である灯油の需要見通しはさらに厳しい。16年度は冬場の気温が前年よりも低いが、電力や都市ガスへの燃料転換の進展により、2%減の1560万㌔㍑に減少。17年度も燃料転換の影響などで、2.3%減の1530万㌔㍑に減少するとした。ピーク時02年度の3062万㌔㍑から、わずか14年で半減近くまで需要が縮小する。
一方、軽油については好調な物流需要を背景に、底堅い需要動向を示す。16年度はトラックの輸送効率の高まりや燃費改善の傾向が持続するものの、荷動きの活発化などから、0.2%増の3370万㌔㍑と微増。17年度もトラックの輸送効率・燃費改善が引き続き進展するものの、輸送量が増えるため、0.2%増の3380万㌔㍑と堅調に推移する。
内需は、人口減や少子高齢化の進展など社会構造の変化と相まって、右肩上がりの需要拡大が期待できる状況にはない。需要見通しは、薄利多売で収益を確保するビジネスモデルが通用しなくなってきていることを如実に物語っている。SSの持続的な発展に採算確保は最重要課題であり、1円の口銭の重みが一層増している。