日刊ニュース

2016.12.22 のニュース

激変の時代を生きる

 国内販売シェア(軽自動車含む2015年実績)トップ(30.4%)のトヨタと3位(13.4%)のスズキは先ごろ、業務提携に向けた検討を始めると発表した。トヨタは4位のダイハツを子会社として傘下に置くほか、富士重工業やマツダ、BMWなどとも提携関係にあり、基盤はますます強固なものとなる。
 一方、ここから遡ること半年。シェア5位(12.4%)の日産は9位(2.1%)の三菱自動車を実質傘下に取り込む資本業務提携に踏み切った。三菱による燃費不正発覚からわずか3週間後の発表だっただけに、日産周辺からは不祥事続きの三菱との提携に強い懸念を示す声も聞かれたが、ゴーン社長はシナジー効果を強調し、「ピンチはチャンス」と訴えたという。
 急速な電装化の流れ、HV・PHVの急伸、EV・FCVの市場投入、さらにその先の自動運転へと、国内の自動車業界は激変の時代に突入している。そうした中で日産が動き、さらに連携強化へ向けてトップシェアのトヨタが動いたことに、世界戦略も見据えた自動車業界の積極性を垣間見ることができる。
 翻って石油業界はどうか。85年の昭和シェル誕生を契機とする元売再編の奔流は、翌86年のコスモ、92年のジャパンエナジー、99年の日石三菱、00年の東燃ゼネラル、02年のエクソンモービルと合併による新会社誕生が続き、08年の新日石と九石、10年の新日石とジャパンエナジーの統合を経て、いま再編最終章に差しかかっている。
 連携強化による業容拡大を視野に入れる自動車業界に対し、石油業界は需要減退を背景とした経営資源の統廃合による合理化・効率化が目標だ。真逆とは言わないまでも、目指す方向には相当の開きがあるが、その中でも共通すべきは、企業を存続させ活性化させ、収益を上げていくという確固たる姿勢だろう。
 具体化しつつある大型再編の効果として、適正収益が確保できる市場の構築を期待するのは、当事者である元売業界だけではない。再編による荒波を直接被る身として石油販売業界もまた、大きな成果を渇望する。着実な歩みのJX・東燃ゼネラルに対し、出光・昭シェルは前途に不透明感が漂ってはいるが、大型再編の流れそのものに大きなブレは想定されない。待ったなしの激変最終章。販売業界も当事者として、その行方を注視し的確に対応する必要がある。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE