2016.12.22 のニュース
石油精製・流通研究会への期待
資源エネルギー庁がまとめた2016年度4~6月期の元売ヒアリング結果によると、6月時点の系列特約店と非系列取引の実仕切価格差は3月時点から0.3円拡大し㍑2.3円となったものの、ヒアリング開始以来、今年3月の2円に次ぐ最小レベルとなった。一方、4~6月期の同一都道府県内における系列内最大実仕切価格差は、1~3月期に比べ0.7円縮小した4.8円で、13年度からの緊急元売ヒアリングで最小格差となった。
だが、通知価格の遡及的な引き下げや、交渉による遡及的な値引きによって“事後調整”が行われている実態に変化はなかった。多くの元売は月内に行っているが、前月や3ヵ月前に遡って調整が行われている実態も判明した。精販ともに低収益体質が問題視される中で、長期にわたる事後的な調整も依然として現存しており、収益改善にはほど遠い状態である。
また、仕切価格は特約店にフォーミュラを示す社と仕切価格の構成要素を示さず総額のみを通知(非フォーミュラ)する社に分かれており、エネ庁からは特約店が仕切価格を十分に理解し、元売と特約店の双方が納得できる交渉を行うために、非フォーミュラ型を含め算出根拠の透明性確保を求めた。
一方、国内市場にはオープンなスポット市場が存在していなかったため、透明性や信頼性などに疑義が生じていたスポット価格も、プラッツ社やOPISといった複数の価格情報会社が新たな価格評価を開始するなど、信頼性が高まることが期待されるが、元売各社の利活用の実態はというと、1~3月期のヒアリングでは1社のみだったが、新たに1社が製品調達を開始するなど前向きな対応もみられる。ただ依然、様子見のところが多く、元売各社の積極的な利活用が進み、価格指標が機能し定着するのか、疑念がぬぐえない。
エネ庁は、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会の中間論点整理を踏まえ、ガソリン卸取引の透明化・適正化、そして国内需給を適切に反映した卸価格指標の構築と仕切価格決定方式の見直しに向けて、「石油精製・流通研究会」を立ち上げ、きょう24日に初会合を開く。取引適正化に関するガイドラインの策定なども論点として挙がる。精販がウィン・ウィンとなる取引慣行が形成できるのか、今後の議論が注目される。