日刊ニュース

2017.01.30 のニュース

指標の「破壊」と「創造」

 1月に入っても卸価格指標を巡る動きが活発だ。東京商品取引所が11日から国内初の公設現物(スポット)市場『TOCOMウインドウ』の取引をインターネット上で開始。活況が期待される中、ガソリン、灯油、軽油、A重油の陸上・海上取引が行われているが、11~20日までの実績だと海上はガソリンの成約があった一方、陸上の成約件数は海上より多いものの油種は灯油とLSAにとどまっている。
 ウインドウでは成約価格に日々の売買唱値を加え推計した計算値を『TOCOMウインドウ価格』として提供している。今後、取引が増えればより精査された価格になるが、現在の価格をみると、1月平均価格(11~20日)で陸上はガソリン㍑102.8円(ガソリン税込み)、灯油53.24円、A重油47.62円、LSA47.89円、海上はガソリン103円、灯油49円で推移。ちなみに、いわゆる系列ブランド料3円、配送費1.5円として陸上ウインドウ価格を系列仕切りに換算するとSS届けで107.3円という数字が弾き出される。
 東商取はウインドウ取引を反映した価格指標を5月スタートの『現金決済型・石油先物市場』の決済価格とする方針だ。そのため東商取がプラッツ、OPISなど複数ある価格指標会社(PRA)のうちどの指標を決済価格に選ぶか注目されている。決済価格に選択されれば指標信頼度が向上することになる。有力PRA3社の陸上ガソリン1月平均価格(4~20日)は、プラッツ東京湾104.6円、OPIS京浜102.6円、リム川崎102.8円。系列仕切り換算するとプラッツ109.1円、OPIS107.1円、リム107.3円で、プラッツの高さが目立つ。仮に指標連動の系列仕切り体系が再現され、かつ複数の指標が乱立した場合、高い指標を採用した系列仕切りは劣勢に陥るだろう。
 こうした取り組みの一方で「リム指標が最も業界に根付いている」とする声は多く、販売業界でもPRAの認知度はリムが圧倒的だ。一昨年から既存PRAの不信を起点に始まった指標再構築の議論も大詰めを迎えつつある。ただ、いずれのPRAも決め手に欠けている感は拭えない。既存の「破壊」だけが進み、新たな指標を「創造」できない事態が発生すれば混乱が訪れ、その混乱が増せば業界の7割を占める中小SSにしわ寄せがいく可能性が大となる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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