2017.01.30 のニュース
SSへの期待にどう応えるか
新年を迎え各地の石油組合で賀詞交歓会が開かれている。その多くに県知事や地元選出国会議員が来賓として出席し、それぞれがあいさつの中で石油販売業界の災害時における尽力を讃え、今後、仮に災害が発生した際の「最後の砦」としてのSSの活躍について期待を述べる。
かつて来賓あいさつは「消費者への安定供給を担うSS」というどちらかと言えば漠然とした役割を述べる祝辞が多かったが、東日本大震災以降「災害時に強いSS」が認識され、その期待が登場するようになった。
確かに、東日本大震災では電気やガスなどのライフラインが断絶し、機能停止に追い込まれた中で、分散型のエネルギー供給拠点であるSSがいち早く立ち上がった。自ら被災者でもあるSSスタッフが地下タンクから手回しで燃料を汲み上げ、店頭にずらりと並ぶ車や被災者にガソリン、灯油を供給する姿が数週間にわたりテレビで報道された。
こうした尽力が「最後の砦」として認められ、全国に自家発電機を備える中核SSや小口配送拠点などが整備されたのだが、昨年の熊本地震で、その中核SSがしっかりと役割を果たし、小口配送拠点からは電力会社の電源車に燃料の軽油がピストン輸送された。8月の台風10号災害でも岩手県の岩泉町では周辺の道路網が寸断され孤立状態になったが、発電機を備えた中核SSや小口配送拠点が活躍し、緊急車両などへの燃料供給に貢献した。国はさらに、自家発電機の全国8千SSへの配備を予算支援している。
あいさつの話に戻ろう。縷々紹介したように、被災しながらも燃料供給の要請に応えてきた組合員や組合職員の努力がそうさせたもので、ここ数年は各地の来賓あいさつで必ずと言っていいほどその話が出る。
一方、森洋全石連会長のあいさつである。最近、特に強調しているのが「発電機を備えても、災害時にきちんと稼働させなければ国や国民の期待を裏切ることになる」ということだ。「責任が伴う」ということであり、発電機を備えたSSは年に数回の稼働訓練を欠かしてはならないという要請である。
災害時の燃料供給協定や官公需での配慮などSSの位置づけも変化しており、この「最後の砦」としての期待に応えるためなにをするのか。それが今後の組合活動の課題だ。