日刊ニュース

2017.02.08 のニュース

系列回帰の中の価格指標

1月はガソリン陸上現物(スポット)価格の下落が話題になった。4月以降の元売再編を見据え、業界内に系列回帰の動きが強まっていることが影響したという見方がある。
 これまで商慣習として続いてきた業転玉の購入が系列回帰で減少傾向に向かえば、商社などの取り扱うスポット玉は売れなくなる。売れなくなれば、安値へと向かうのが価格メカニズムだ。増して自由化以降、元売や販売業者・SSが大きく減少する中で、商社など卸の部門はプレイヤー数の減少があまり進んでいないとされる。潜在的に過当競争体質を抱えている。
 「これまで卸各社もそれぞれに事業改編しコンパクト化するような動きをみせてきたが、元売やSSと比べると大きな再編や淘汰が進んでいない」(商社)などの声が多く聞かれ始めている。元売再編に伴い、今後、海上スポット市場は大きく縮小していくというのが大勢の見方だ。海上は、商社などが仲介していても、基本的には外資系元売と民族系元売の取引だったので当然だが、陸上市場にも影響を与え、スポット市場の構図を変化させることになるだろう。
 スポット玉の取引量が縮小すれば、価格指標を不安定化させることにつながる。スポット市場が完全消滅すれば、原油コストベースの系列仕切りが再現できるという考え方もあるかもしれないが、再編によって元売が巨大化する中、透明かつ公正・公平性の高い価格指標を確立することは、系列仕切りの参考値や需要家の価格交渉材料としてだけでなく、社会全体としても必要不可欠になっていくと考えられる。増して陸上スポット玉がなくなると考える業界関係者は皆無である。強引に系列仕切りをコストベースにすれば著しい価格差が発生するだろう。
 先ごろ取材したOPIS社の鄭智元アジアパシフィックエリア代表は「先物、海・陸市場の非連動性が歪な価格指標を生み出している」、「再編後、陸上も蔵取りが難しくなるかもしれないが、標準化がむしろ進む。陸上はこれまで商売の形態が多過ぎた」と指摘、公設スポット市場TOCOMウインドウなどを開始した東京商品取引所の機能に対して期待感も語った。スポット市場が右肩下がりし不安定化する前に、秩序だった価格指標の確立が早急に必要で、その指標は業界内外が納得できるものでなければならない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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