2010.07.02 のニュース
時評 系列SSの苦戦続く -HCの販売価格が大きく影響-
ガソリンの末端市況は、HC、量販店が122円/リットル(消費税込み)、街道沿いSSが128円、都市部134円、掛売りが140円以上というのが大勢となっている。そのためガソリンのマージンはHCが5円、街道沿いが10円以上、都市部が15円、掛売りが20円程度となっている。このマージン幅は、規制時代の20円に比べると雲泥の差であるが定着している。
中東不安、投機資金の原油市場への流入などで原油価格が急騰し、石油製品の需給がタイトになるとガソリン市況も値上がり、マージン増となるが、これは一時的であり時間が経過すると低マージンに戻る。その要因は販売業者間の過当競争、SSの多いことが要因とされるが、基本的には、国内の精製能力が1OO万バーレル/日以上も過剰であることが最大の要因とされている。だが、過剰設備は数年前から指摘されているものの簡単には解決されない。
そのため販売業者もマージン15円以上は確保したいが、実際は10円程度でも経営が出来るよう油外収益を確保すべきだとの元売のSS戦略に応じている。現在は7~8円のマージンで経営すべきとの戦略が展開されている。
しかし、HCは業転市況にプラス5円のマージンでも経営が可能であるとして、薄利多売の商法で臨んでいる。このHCの商法は、ガソリンはユーザーを集めるための目玉商品と位置づけており、ガソリンで利益を確保しなくてもユーザーを集めることで一般の日用品を販売することが目的となっている。この商法に対抗できずに周辺SSの多くは廃業に追い込まれており、HCの独り勝ちとなっている。
HCの安値販売に対して、周辺業者が再三、公取委に不当廉売の疑いがあるとして申告しているが、いずれもシロの判定となっている。不当廉売については、周辺業者が影響を受けて、SS経営が困難となっていることも要件となるが、すでに周辺業者は淘汰されており、経営難の対象となるSSが存在しない。その実証ができないこともあり、ますますHCが有利となり、シェアを拡大することになる。最近ではHCが末端市況を決めるケースが多くなっている。HCの安値は、一週間後には、その影響が都市部にもおよび、最終的には全国の市況に影響を与えることになる。
HCの1SS当たりのガソリン販売量は多いが、全国的に見れば数は少ない。だが、全国の市況に与える影響を考えると、あらためて元売の対応にも一考が求められる。HCの供給ルートは、大手販売業者(元売の特約店)から業転市況に連動した価格での購入である。元売はまったく感知していないとされ、この仕入れ価格にマージンを5円加算しての販売は、その意味では製油所から出荷された国産品で品質も保証され、取引きも公正で透明である。
このように、HCがシェアを拡大しつつあるが、それでも全国にガソリンを供給するまでには至ってない。HCが栄えても、販売業界が滅びれば石油業界全体でみればマイナスとなる。自由化時代であり、異業種の進出を阻止することはできないが、良識ある対応が求められており、販売業界からも秩序ある販売が要請されている。