2010.07.05 のニュース
大きなダメージを与えた混和
SSにとっての危機管理はさまざまだが、自らが販売する石油製品が不良品あることが発覚することほど、恐ろしいものはない。給油客の安全運転を確保するのがSSの最も重要な役割なのに、エンストによる事故の危険性を与えかねない“製品”を売ってしまったら、当のSSだけでなく、販売業界全体がドライバーから白い目で見られることになる。まさに“悪夢”のようなものだが、本紙報道のように、北海道の事例は、同一業者が立て続けに同じことを繰り返すという前代未聞の大失態だった。
経緯を振り返ると、安値を戦略に北海道全域にSS網を巡らす量販店が3月初め、帯広市のセルフで灯油混入のハイオクガソリンを販売したことが発覚したのが発端。この灯油混入ハイオクは廃棄処分されずに他の4SSに配送され、給油されていたことが判明。さらに同社は4月下旬、渡島管内のセルフでも灯油混入のレギュラーガソリンを販売するという“離れ業”を演じてしまった。いずれもローリーから荷卸しする際のミスとされているが、他のSSに転送しての販売、時間を置かずの再発は、責任転嫁ができるはずもない。このような事態がなぜ繰り返されたのか。安全管理という基本が全く欠如しているとしか言えないが、どこまでも安値で突き進む経営姿勢も関係している、とする声もなくはない。3度目は絶対にない、という水を漏らさぬ管理体制が求められる。
北海道経産局はこのほど、品確法に違反したとして、不良品を販売したSSの品質維持計画の認定を取り消したが、同社の系列元売である詔和シェル以上に衝撃を受けたのが道内の販売業界だ。SSを通じてこのような不良品が出回り、地元ドライバーに強い不信感を植え付けたことに、八雲町が含まれる函館石協は品質保証の製品であることを明らかにするSQマークのノボリを作製、管内の組合員SSで掲示を始めた。
不良品問題は、昭和50年代前半に各地で発生した粗悪ガソリン、60年代にはフェルガソリン、さらに、平成10年代前半のアルコール燃料によるエンジントラブルと断続的に発生している。今回の混和とは内容が異なるとしても、消費者に「また不良ガソリンか」と思われかねない。石油製品の信用を失墜させたことは大きな汚点であり、SQマークのノボリで差別化しても、地元消費者からの信頼回復は容易ではない。