日刊ニュース

2011.01.21 のニュース

諸外国と同様 資源探査段階で規制 ―鉱業権の許可は経産大臣に―

 総合エネルギー調査会鉱業・石油分科会は、鉱業法の見直しを審議している。施行後60年を経過しているのと、近年、外国船がわが国の排他的経済水域で資源探査(物理探査)を伴う海洋調査活動を行なうケースが続いているなどの行為に対応して法改正による規制を実施するものである。海域では国連海洋法条約で排他的経済水域、大陸棚における資源開発については主権的権利が認められているが、わが国では資源探査に係わる段階までは法制度が未整備であり、鉱業法では規制されていない。
 この問題は国会でも取り上げられ、直嶋前経産大臣は「石油、天然ガスだけでなくメタンハイドレート、海底熱水鉱床などの次世代資源が確認されており、管理を強化していくことは不可欠である。諸外国の状況を踏まえて制度整備の検討を進める」と述べている。
 資源探査のプロセスは「資源探査(物理探査)」で地下の情報を取得し、データを処理・解析する。この資源探査の段階では、一定期間、一定の区域を占用して作業を実施するため、占用区域の利用を妨げ、他産業、近隣住民にも影響を与える。だが、現行の鉱業法では一切規制が行なわれていないのが実態である。
 その後のプロセスである試掘、開発の段階では鉱業法で規制されている。資源探査から「試掘」(ボーリング調査)に移行、地下の油ガスや岩石を採取・解析することで鉱床の有無、規模、品位を明らかにする。このデータを基に鉱床の規模、技術的、経済的な評価を行ない「開発へ移行」する。
 諸外国の米国、英国、ノルウェーなどの例をみると資源探査の段階では規制(許可制)を行なっている。政府に対して、申請して許可を得ることになっており、また、探査で得られたデータは政府の求めに応じることになっている。
 これらの状況を踏まえて、わが国の資源探査の行為の適確性を担保する観点から、新たに一定の行政手続(事前規制)を整備することになったもの。具体的規制案については①行政手続は、許可、届出のうち、どの様な手続が適切かとなるが、資源探査を行なう主体を確実に把握するには許可制が必要である、②鉱業法の規制は、あくまでも資源探査行為が対象であるが、科学調査(気象、海流、生態調査など)は規制外である。しかし、その行為が類似している科学的調査の扱いをどうするかを検討する、③資源探査を容認する場合の要件は、原則として鉱業権の設定と同様な要件を課すべきではないか、④規制の実効性を確保する観点から報告徴収、立入り検査、中止命令など罰則規定を設けることが必要ではないか、などの点を検討する。
 その他、①鉱区面積が現行では350ヘクタールであるが、諸外国と比べても狭く拡大すべきである、②試掘の期間が現行は試掘権の登録から2年間であるが、これを延長する、③鉱区の許可は地方経産局長であるが、他の関係機関との調整もあり、経産大臣とする、などの見直しも検討される。
 さらに石油・天然ガス資源開発法は廃止となる。掘削技術の向上を目的としていたが、すでに目的が達成されたのと補助金制度もピークは43億円の予算措置が計上されたが、最近は予算が計上されず、事実よ補助金は廃止となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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