日刊ニュース

2011.02.04 のニュース

各社決算は大幅な増益 ―需給調整によるマージン確保が要因―

 石油各社の決算発表が行なわれている。外資系は平成22年1月~12月期の1年間、民族系は4~12月の9ヵ月となっているが、猛暑、寒波が需要を押し上げたことや、輪出も堅調で販売数量は前年比で微増となった。一方、供給面では、需要に見合った生産で対応したため製品需給の調整が行なわれ、業転市況が堅調に推移したこともあり、マージンが改善され増益となった。
 昭和シェル石油の12月期連結決算は、原油価格が78.1ドル/バーレル(ドバイ)で前年に比べ16.2ドルの大幅な値上がり、為替が87.8円/ドルで5.8円の円高を受けて、売上高は2兆3460億円で16%の増収、経常利益は421億円となった。前年は565億円の赤字であったため、比較する986億円の大幅な増益となった。在庫評価益が79億円あり、これを除く実質の経常利益(CCSベース)は342億円となる。
 石油製品ビジネスでみると、需給環境の良化、4月以降における猛暑、寒波が需要を押し上げることになり、前年比でマージンが318億円改善された。セグメント別で営業利益をみると、石油事業が447億円、エネルギーソリューション事業(太陽電池事業など)は116億円の損失、不動産事業は29億円、その他は6億円で計367億円となり、前年が571億円の赤字であったため939億円の増益となっている。ソリューション事業の赤字は宮崎第3プラント(国富工場)の立ち上げに係る先行投資の発生によるものである。11年の見通しは、連結経常利益310億円を見込んでいる。原油価格も現状レベル、マージンも同水準を確保できるとみている。
 出光興産の4~12月期の連結決算は、営業利益が847億円で前年比で497億円の増、経常利益は858億円で612億円の増益となった。営業利益は847億円であるが在庫評価損が9億円あり、相殺した実質の営業利益は857億円となる。前年は在庫影響を除くと248億円の実質赤字であったため、これと比較すると1104億円の増加となった。
 原油価格(ドバイ)は期初の80ドルから、その後は下落して70ドル台で推移、12月後半は90ドル台へと値上がりしたが、上期の在庫評価損の影響が10~12月の原油価格の高騰で相殺され、小幅損に留まった。
 セグメント別の営業利益を見ると石油製品は572億円で415億円の増加、石油化学製品は36億円で21億円の減、資源は288億円で94億円の増となっている。
 通期(3月期)の予想は営業利益を990億円と、昨年11月に公表した670億円を320億円増に上方修正している。原油、ナフサ価格の上昇で在庫評価益の発生とマージン確保を見込んでいる。さらに、11年度の決算も10年度と同額の利益が見込まれており、石油業界としては、久し振りの好決算となりそうである。その要因は、石油製品のマージンが改善され、本業の石油事業で黒字となったことである。懸念材料であった過剰設備問題に対応して、まず能力削減に取り組み、各社が減産で足並みが揃い、需給が調整されたことである。その結果、業転市況が堅調に推移したため、市場連動制による仕切価格の改定が元売の思惑通りに浸透して適正マージンが確保されたことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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