日刊ニュース

2011.02.25 のニュース

原油急騰ガソリン値上げに取組む ―元売、需給を締めて業転市況を値上げヘ―

原油価格は中東産が100ドル台に乗せたが、ガソリン市況は低迷している。灯油は需要期で値上がりしているがガソリンの値上げは遅れている。灯油はシーズンが終わり値下がりとなるため、これからはガソリンの値上げに取り組む時期にきているが、環境整備が遅れている。
 ただ、原油価格は、リビア情勢が緊迫化したこともあり、WTIも22日には93.57ドル/バーレルと前週末に比べ約7ドルと急騰しており、状況は急変してきた。
 国内におけるガソリン安の要因は、①ガソリンは販売が不振であり、需給が緩和気味である、②灯油の増販で原油処理を上げたためガソリンが供給増となっている、③業転玉が出回っているが買いがない、など需給が緩和しており、業転市況が低迷している。ただ、原油価格が値上がりしているため、ここにきて東工取のガソリンの先物は65円/Lへ値上がり、業転市況も値上がりしてきた。末端市況は横ばいか値下がりとなっているため、今後の市況対策がポイントとなってくる。原油価格が値上がりしたにもかかわらず業転市況の上がりが遅れているため、元売のマージンは減少している。
 今までは、灯油の増販で元売も利益を確保できたが、これからは灯油に代わってガソリンの値上げが急務となっている。ガソリンは3月から需要期に入るため、増販が見込まれるが、前年に比べるとマイナスとなりそうである。
 原油価格は、ブレントは104ドル、中東物が100ドルと高値になっていたが、指標原油のWTIは86ドルと安値であったため、大幅な価格差が生じ、価格の先行きは不透明となっていた。しかし、WTIが94ドルヘと値上がりしてきたためブレントとの価格差は7ドルへと縮小されてきた。WTIが値上がりしたことで原油価格の値上がりが浸透することになる。今後のWTIの値動きが注目されるが、値上がり続けば原油の高価格時代の到来となる。
 WTIが高騰すると、原油価格は一気に急騰することも予想される。リビアの危機が中東産油国に波及、投資資金が原油市場に流入すると、08年7月のWTI145ドルの再来との見方も出てくる。
 もっとも、原油価格は高騰しているが、為替が82~83円/ドルであり、当時の108円に比べると大幅な円高で、コストヘの影響は少ないため救われる。
 それでも中東産は100ドル相場となっており、コスト増となっている。原油CIFは、1月中旬が48円/Lであったものが、足元は53~54円に値上がりしている。コスト増となっているが、ガソリンの値上げが遅れているため元売のマージンは減少している。販売業者も、ガソリンのユーザー転嫁は昨年末から1月にかけての実施で138円相場を形成したため、ある程度はマージンを確保した。だが、末端市況は中だるみ現象から、安値は130円割れも散見しており、このまま放置すると、市況下落も心配される。
 今回の原油価格高騰で元売も危機感を強めているが、コスト増を回収するため仕切価格の値上げはこれからとなる。末端市況を引き上げるには、まず業転市況の値上げが先決となる。これから需給を縛り業転市況の値上げに取り組むことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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