日刊ニュース

2011.03.04 のニュース

原油高騰 状況が急変 ―ガソリン値上がりも減販が心配―

 原油価格は、中東産で110ドルと高騰しており、元売も仕切価格の大幅な値上げを実施するなど、状況は急激に変化してきた。ガソリン市況は前週まで下落傾向にあったが、原油価格の高騰を受け、値上がりに転じている。3月からのユーザー転嫁でガソリンは140円/L相場が形成されつつある。
 原油価格の高騰について、関全石連会長は「石油業界の経営にも深刻な影響がおよぶ。精製・販売は従来の旧態依然とした量販志向による価格競争から速やかに脱却することが求められる」との緊急コメントを発表している。元売も危機感を強めており、仕切価格の大幅な値上げを実施しており、販売業者も、これを受けてユーザー転嫁に取り組んでいる。
 今回の原油価格の高騰は、チュニジアから始まり、エジプト、リビアヘと波及した反体制連動が、どこまで中東産油国に影響を与えるのか心配されており、見通しが不透明となっていることによる。中東産油国に飛び火して原油の供給途絶という事態を予想するシナリオもあるが、今のところ中東産油国には波及しないとの見方が大勢である。しかし、何が起きるかは分からず、目が離せない状況が続く。
 弱年のWTI最高値である145ドルに接近しており、予断を許さない状況にある。足元の原油価格は110ドルとなっているが、為替が82円/ドル当時の108円/ドルに比べて大幅か円高であるため、円/Lで換算するとコスト安となる。08年8月の原油CIF価格は92円であり、足元の東工取原油先物価格の52円に比べると40円の差がある。
 ガソリンの販売価格は、160円/L以上が3ヵ月続くと暫定税率分の25円を引き下げることになっているが、現在140円台であるため、まだ20円の余裕がある。160円台に乗せるか否か見通しは難しいが、中東産油国が混乱状況にならなければこれ以上の大幅値上がりはないとみられる。20円の余裕があるから大丈夫と楽観的に見るのか、あと20円しかないと悲観的にみるのか、見方が分かれるところである。
 そもそもはガソリンが160円以上になるとことはないと想定しての法的措置であり、これが現実となると、多くの問題が生じる。08年4月で暫定税率が廃止となり混乱したことがあるため、事前に対応策を検討することが必要な時期となってきた。
 さらに原油価格が高騰すれば150円は現実的となる。都心の掛売は150円となっており、高価格かどうかの最終的な判断はユーザーに委ねられるものの高価格帯に入ると見てよい。今回の値上げでも安値は140円を下回る138~9円で止まっており、高値による販売減を心配している。一般SSも150円となると販売減となるとみており、150円がひとつの壁とみられている。ガソリンは、平成22年度の累計では微増となっているが、これは猛暑によるのとガソリン価格が130円台で安定して推移した結果である。
 さらにガソリンが値上がりすれば販売減は必至となる。向こう5年間の需要見通しは年率3.2%減となっており、今後は販売減で推移することが自明だが、150円になれば、ユーザーの節約志向で販売減は大幅となり、価格競争の再燃が心配される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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