日刊ニュース

2011.03.09 のニュース

ガソリン連続値上げ160円超えも ―25円の減税も想定される状況に―

ガソリン市況は、3月入りで140円台に乗せており、さらに5日からは、仕切価格が工クソンモービルで4円50銭/L、出光が4円80銭、JX日鉱日石エネルギーが4円90銭の各値上げとなり、約5円の値上げとなったため、今週中には150円相場に近づくことになる。首都圏のボトム価格は141~3円となっており、5日からは5円値上げとなっており、そのまま5円をユーザーに転嫁すると146~8円となる。未達分の6~7円を加算して転嫁すると、都心部では現在既に145円であるため150円台に乗せる。
 このようにガソリン価格は150円相場から160円に近づくことになる。そのためガソリン価格高騰時におけるガソリン税などの特例税率(53円80銭/Lの適用が停止引き下げ)される状況となってきた。
 「ガソリンの平均小売価格が連続3ヵ月にわたり160円超えとなった場合、以前の暫定税率分の25円が引き下げとなる」という特例措置が講じられることになるが、その可能性が現実味を持ってきた。
 この特例措置は民主党政権発足後の平成22年度の税制改正大綱で決まったもので、租税特別措置法、ガソリン税法によって適用となる。そのため石油業界でも160円超えを想定して対応策の検討を始めた。経産省でも省内にアフリカ/中東、原油情勢連絡会を設けて原油高騰に際しての対応策を検討している。
 法的には「ガソリンの平均小売価格(総務省の小売物価統計調査)が連続3ヵ月にわたり160円/Lを超えた場合には、特例税率(53円80銭)の適用が停止され、本則税率(28円70銭)が適用となる。」とするもので、財務大臣が160円超えを告示、告示した翌月の初日から実施となる。つまりは160円超えが3ヵ月続き、さらに実施まで1ヵ月の期間があるため、通算で4ヵ月の余裕はある。差し引き25円10銭が引き下げ(減税)となるため、販売価格は約25円の値下げとなる。
 この措置が議論されていた当時は原油価格が70ドル程度、ガソリンは120円台であり、160円になるとは想定されず余裕をもって設定したものとみられ、160円という数値に特別の根拠はない。08年8月には185円まで値上がりしたが、当時はまさか原油価格が110ドルに急騰するとは想定していなかった。
 石油業界では、すでに08年4月に暫定税率の廃止で25円が引き下げられ、5月には復活して25円が引き上げられたことを経験している。
 当時は、与野党が対立しており、ねじれ国会であり民主党が暫定税率の廃止で勢いがつき、強引に推進したため、石油業界は混乱、大きな被害を受けた。その後、民主党が政権をとり、暫定税率を廃止することにしていたが、結局は財源不足のため地方からの反発で実質的に暫定税率は存続となった。暫定税率は特定税率と名前を変えて徴収されることになった。
 当時はSSでタンクに保有していた手持ち在庫のガソリン税の暫定税率分の扱いをどうするかも決めずに実施したため、販売価格が即値下げとなり、暫定税率分を販売業者がかぶることになった。今回実施となった際には、石油業界が不利になることがないような措置が講じられることが要請される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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