2011.03.11 のニュース
仕切価格連続で大幅な値上げ ―即日のユーザー転嫁が重要―
ガソリンの仕切価格は、2月26日、3月5日と2週間連続して8円から8円50銭/Lの大幅な値上げとなった。1月からの未達分を加算すると10円程度の値上げとなる。この大幅な値上げを受けて、販売業者はユーザー転嫁に取り組んでいる。遅れ気味ではあるが、ユーザー転嫁は2月価格対比で10円程度の値上げで浸透している。
仕切価格改定が週決め制で実施となって以来、初めての大幅値上げである。それだけ原油価格が短期間で値上げとなったことになる。ブレント、中東産は110ドル/バーレルを突破しており、昨年末に比べると約20ドルの値上がりとなっている。ブレントが北アフリカの政情不安から100ドル超えに急騰する一方、WTIがアメリカの原油在庫の増加で2月中旬に85ドルまで下落したこともあり、原油相場は分かりにくい状況が続いた。しかし、産油国であるリビアが内戦状態となり、原油供給に支障が見込まれると予想されたことで、WTIが一気に100ドルを超えたことから、原油価格の高騰が浸透、元売も危機感を強め、2月末から連続値上げで対応した。
国内のガソリン市況は、原油価格が上昇した割りには灯油の増産で供給増となったため下落気味となり、業転市況は灯油に比べ5~6円安で推移していた。冬場であるため、「灯油高のガソリン安」は予想されたが、3月で灯油シーズンが終わるため早急にガソリン市況を値上げすることが急務となっていた。今回、連続の仕切価格値上げでガソリンが大幅値上げとなり、灯油は小幅となったことで、双方の価格差が是正されてきた。東工取の先物市況は値上がりしているが、70円/Lの同値となっている。今後は灯油が不需要期で値下がり、ガソリン高の体系に移行するが、今回の仕切価格の値上げを機に、一気にガソリンが値上げとなり、元売の思惑通りに価格が形成されることになった。
販売業者はガソリンの仕切価格が急騰したことに戸惑いをみせているが、原油価格が急騰したのと、元売の強気な方針が伝わり、ユーザー転嫁で足並みが揃った。仕切価格の改定通告が金曜日、実施日が土曜日であるものの、ユーザー転嫁は土曜日の即日とはならず、2~3日は様子見となるが、今回は大幅値上げであり、月曜日には実施されている。
本来は仕切価格の値上げ実施日に即ユーザー転嫁とすべきであるが、販売業者間では周辺のSSの動きを見ることになり、SSのタンクの在庫品は値上げ前のものであり、コスト増との理屈もあるが、連続して値上げとなると即コスト増を回収しないと赤字となる。「値上げは遅れ、値下げは早い」という商習慣は改善すべきである。
毎週改定されるため、小幅な仕切価格の変動に対して、その都度価格を改定することはユーザーも販売業者も馴染まないが、即時に転嫁せずに様子をみていると、最近のように原油が高騰したがコスト増をかぶることになる。
原油価格の急騰という緊張局面にあり販売業者の足並みが揃っているが、今後の見通し難もあり、即コスト増は回収すべきである。また、相場は急騰すればその反動で急落することが常であり、下落時の対応も今から考えるべきである。