日刊ニュース

2011.03.16 のニュース

大地震発生で安定供給に不安 ―製油所の操業再開、融通で臨む―

東日本大地震が11日に発生、東京電力・福島第一・第二原発の自動停止、第一原発の1,2,3号機の事故などで計画停電が実施となり、経済、社会、産業、エネルギーヘの影響が心配される。石油業界でもコスモ石油・千葉、JX日鉱日石エネルギー・仙台でLPGタンクの火災事故で操業を停止した。さらにJX鹿島、極東石油、東燃・川崎、JX根岸など6製油所の操業が停止している。油槽所からの出荷の停止、一時見合わせなどの影響が出ている。
 流通段階では、被害の状況は不明であるが、災害地周辺のSSでの被害は少ないようだが、ガソリン、軽油、灯油などを求めてユーザーがSSに殺到しており、数量を制限して販売しているケースもあって混乱が生じている。
 石油業界としては、石油の安定供給に万全を期して対応するが、予想を超えた大災害であるため、今後の対応が注目される。過去の地震災害に際しては、石油はライフラインとして災害に強く、安定供給が寄与したことが評価されているが、今回の東日本大地震に対しての安定供給策が間われることになる。
 これから被害の状況が明らかになるが、石油業界としては精製・元売、販売業者が一体となった安定供給が求められる。精製・元売は、災害に対して復旧作業が第一となるが、その間の供給に際しては各社間の融通で対応する。
 ユーザーは安定供給を心配しているが、国内の石油製品の供給数量は、製油所、油槽所では確保されているため供給数量には問題はない。だが、元売問での石油製品の融通が行なわれるとしても、内航タンカー、ローリーでSS、ユーザーまで輸送できるかが問題となる。過去にも地震災害を経験しており、石油業界は、ノウハウを蓄積しているが、今回は、今までに経験したことのない大災害であるため、対応策には困難が予想される。
 製油所も仙台、関東地区の一部で操業を停止しているが、北海道、関東の一部、関東以西では操業しているため、全体の供給数量は確保されている。問題はSSへの供給がスムーズに行なわれるかであり、道路が確保されるのか、道路網の整備にかかってくる。
 SSサイドでも混乱が生じているが、冷静な対応が望まれるところである。すでに供給不足を見込んで給油に際して数量制限で販売しているが、元売の供給方針と連絡を取りながら対応すべきである。
 被害地の経済活動は停滞しているため、需要は減少しており、実需は緊急用となるため、供給には万全を期すべきである。だが、ユーザーの買いだめも予想されるため冷静さが求められる。
 販売業者は、当然ながら便乗値上げは避けるべきである。原油価格の高騰で仕切価格が大幅な値上がりとなり、ユーザー転嫁の最中であるだけに難しい局面にある。未達分を残しているが、この時期での値上げとなると誤解を招くことなり、ユーザーの理解を得ることが大切である。
 製品需給はタイトになり、供給面では支障が生じることも予想されるが、元売系列のSSには供給が優先されるものとみられる。だが、系列外のノンブランドのSSの供給が難しくなる公算が強い。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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