2011.03.18 のニュース
ガソリン買いだめで品不足 -ユーザーヘの説得が重要-
ユーザーによるガソリンの買いだめで、東北、関東地区のSSでの品不足が目立っている。ガソリンが供給されずにSSを休業するケースが出ており、供給不足が深刻化することが心配されている。国内全体でみれば供給は十分あるが、6製油所の操業停止、油槽所の稼働率の低下、ローリー輸送の減少などで支障が生じており、末端SSへの供給が難しくなっている。加えてユーザーの買いだめによる仮需要が発生したためガソリン不足が表面化した。
東日本大地震の発生、とくに福島第一、第二原発の操業停止、爆発事故の発生で異常事態となっており、復旧に時間がかかることが明らかになった。また、計画停電の実施などで電力不足の深刻さが実証されている。そのためスーパーからトイレット・ペーパーなど日用品、食料品が無くなるなど、ユーザーの買いだめが始まった。同じくガソリンも無くなるとのうわさが出て、SSにユーザーが殺到、その光景がテレビで放映されると、さらにユーザー心理が働き、ガソリン不足が増幅されている。
石油業界は、ガソリンなどの石油製品の安定供給には万全の体制で臨んでいるが、ユーザーの買いだめに合うと対応が難しくなる。元売も計画出荷で対応しており、災害支援の緊急車両への供給を優先していることもあり、供給はタイトな状況が続いている。
このような状況に対して、天坊石油連盟会長は「備蓄法による石油製品の民間備蓄の義務数量を引き下げて欲しい」と要望したこの要望を受けて、経産省は「民間備蓄の義務数量を70日から3日分引き下げて67日にする」と石油業界、輸入業者に伝えている。
民間備蓄の取り崩しによって需給緩和を狙うが、石油製品の場合は他の物資と違い、液体であるため、在庫品が市場に放出されても分かりにくい、という問題が指摘される。石油業界は在庫を減少させてもよいことになるが、緊急事態がいつまで続くかが分からない状況下では、今後の安定供給を考えると簡単には在庫を減らすことは難しい。
さらに、在庫を放出することは、元売、輸入業者の在庫数量を減らすことで可能となるが、その場合、在庫取り崩し分か一挙に市場に出回るのではなく、その効果は分かりにくい。石油製品は常に製油所から末端のSSまで流れているため、ある程度の期間が過ぎてみると元売の在庫が減少していることになる。
SSサイドも、元売が在庫を放出したからといって、個々のSSに対して出荷数量が増加するのではなく、あくまでもマクロでの話である。在庫が放出され石油業界全体で需給が緩和されれば、供給不足は緩和することが期待されるが、緊急時であるとの認識が高いのと、ユーザーの買いだめが続けば、焼け石に水となりかねない。
それよりも、ここはユーザーが買いだめを自粛することが先決である。全体でみれば供給は十分であり、供給不足にならないことを、石油業界が丁寧に説明して理解を得ることが重要となる。原発事故の拡大、計画停電の実施、交通機関の乱れ、地震が多発するとの予測が出ているため、難しい面もあるが、石油業界も、供給は不足しないという正確な情報を伝えることが大切である。