2011.04.01 のニュース
発券店値付けカード問題が再燃 ―大震災で供給不足が背景 SS業者から反発―
東日本大震災の影響で、ガソリン、軽油の供給不足となり、SS店頭では混雑回避のため一回の給油は20Lと数量を制限するなどしたため、給油をめぐりユーザーとの間でトラブルが発生した。
さらに問題となったのが発券店値付けカードの扱いである。ユーザーがこのカードを利用して発行店以外の他SSでガソリンなどを給油すると、給油店の手数料は軽油が5円/L、ガソリンが7円と少額のため、緊急時において少ない手数料での給油を拒否するSSも出た。現金で決済したケースも出たようである。ユーザーからみれば通常のカードで決済できるとみているが、給油するSSにすれば、現金で販売すればマージンは15円程度確保できるため、その半分の手数料では採算が合わないことになる。
SSでは、供給不足と買いだめを抑えるため、一回の給油を20Lか、又は2000円までの限定販売などで対応して給油したが、発行店がSS業者でないリース会社などであり、手数料も少ないため、そのユーザーに給油することに反発が出るのは当然である。商道徳からユーザーには公平に対応すべきであるが、この発券店根付け方式カードには販売業者サイドが以前から反対であると元売に中止を要請していたこともあり、この緊急事態で反発を強める結果となった。
一般のSSでの取引きは現金、掛売、各種のカードが利用されている。カードはクレジット、法人向け、全国共通など多岐にわたっているが、いずれも、発行店(SS)で利用、決済するのが原則となっている。
しかし、発券店値付けカードは、SSを所有していないリース会社などが発行しており、他SSでの給油を前提にしているため、SS業界からみれば異業種の進出であり、流通秩序を崩すとして発行の停止を求めていたものである。自社でSSを保有していないため、既存のSSを利用することになるが、給油するSSの手数料(マージン)が少ないため、契約販売価格は安くなりシェアを拡大している。カードを発行すれば、マージンが少なくても利益は確保できるため、発行数が増加することになり、その分、SSでの扱いが減少する。このカードを利用するユーザーが増加すると、販売数量が増加してもマージン(手数料)は半分以下となり、大口のユーザーがこのカードに切り替えることになれば、一気に倒産ということにもなる。
公取委も、この方式には問題があるとの指摘もあり、是正されている面もあるが中止には至っていない。今回の東日本大震災で供給不足から給油をめぐって問題が生じたが、このカードを利用しているユーザーも、コスト安のみ追求するのではなく、緊急時の安定供給を考えて対応すべきである。今回の大震災を機に、再度、発券店値付けのカード問題がクローズアップされてきたといえる。