2011.04.07 のニュース
電力向けC重油 供給増加 原発停止で火力にシフト ~増産で他製品が余剰に~
東電の福島第一、第二原発の操業停止により、石油火カヘシフトすることが求められており、電力用C重油の供給増が石油各社に要請されている。各社ともこれに対応すべく努めているが、3製油所が操業を停止しており、被災地である東北地方への石油製品供給もあるため対応には苦慮している。原発事故については、平成19年(07年)7月16日に発生した中越沖地震の影響で柏崎刈羽原発が操業を停止、急速、東電向けC重油の需要増に対応。その結果、同年8月の電力向けC重油の9社受入は前年同期比で89%増の急増となり、19年度では52%増となった経験がある。しかし、今回は想定外の規模であり、すでに計画停電も実施されている。火力発電へのシフトで休止している火力などを立ち上げることになるが、電力向けC重油の供給増に対応するべく原油処理量をアップすると、ガソリン・中間留分の供給増となり、市況下落が予想されるため、石油各社の対応も難しくなっている。
元売各社は、東京電力からC重油供給増のオーダーを受けているが、LSC重油となるため、数量が制限される。
そのため、石油連盟はサルファ規制の緩和策を経済産業省に要請しているが、その窓口は環境省、地方自治体(地元環境アセスメントの了解が必要)であるため、難しい状況にある。
環境を優先するのか電力を優先するのかの二者択一となるが、簡単にはサルファ規制を緩和することは難しいようである。
東電特需によるC重油の供給増に応じたいが、供給量の確保が難しい。LSC重油の輸入、原油からの増産で対応すると、ガソリンなど他の製品が生産過剰となり、そのため市況が下落すると、石油各社の業績にも悪影響を及ぼす。
電力の安定供給確保には、C重油の供給増が求められるが、他の製品が倍増となるため、増産対応に簡単には応じられない難しさがある。
3製油所が操業を停止しているため、東北地方の供給を確保することで、製油所はフル稼働である。需給は締まっているが、この状態が落ち着き、C重油が増産になると、需給バランスの崩れが心配となってくる。