2011.05.13 のニュース
価格体系の見直しが効果を発揮 -元売はマージン確保で好決算-
元売の3月期決算が発表されたが、石油事業で石油製品のマージンが確保されて増益となった。価格体系の見直し効果もあり、石油事業本体で増益となったことは大きい。3月11日の東日本大震災で東北の太平洋側が被災したことは、経済面で今後に大きな影響を与えることになったが、2010年度でみると好決算となった。
出光は連結経常利益が1280億円(09年度は304億円)で前年に比べ927億円の増益、利益は607億円(60億円)となり、経常利益は1000億円を超えて過去最高となった。
セグメント別で営業利益をみると、石油製品は946億円(180億円)、石油化学品が42億円(68億円)、資源が375億円(276億円)となり、その他、調整額が57億円の損失(79億円の損失)で計1288億円(445億円)となっている。09年度は在庫影響を除くと229億円の赤字であった。10年度は原油価格の上昇による在庫評価益が336億円あり、これを除くと実質の営業利益は952億円となる。
コスモは連結経常利益が961億円(364億円)で前年比597億円の増益となった。在庫評価益が723億円あり、これを除くと実質利益は738億円となる。利益は289億円(107億円の損失)となった。
セグメント別で経常利益をみると、石油事業が584億円(32億円)、石油化学事業が3億円の損失(58億円)、石油開発事業が374億円(299億円)、その他が33億円(26億円の損失)で計961億円(364億円)となっている。
各社の決算は、過去2年間は実質赤字が続いたが、ようやく黒字に転換したことになる。業績に大きく影響する原油価格は、ドバイでみると期初が80ドル/バーレルであったが、その後は60ドル台後半から80ドル前半の価格圏で推移、今年1月以降は、アフリカ・中東の政情不安で急騰、期末は109ドルで終えた。年平均は84ドルで前年に比べ約15ドル高となった。為替は年平均86円/ドルで7円の円高となった。
原油価格の値上がりが続きコスト高となったが、ユーザーに転嫁されたことになる。08年から市場連動の週決めによる仕切価格の改定方式が実施されたが、供給過剰により市況が低迷してコストの回収ができず、元売、販売業者とも赤字となり、共倒れが心配された。
そのため、各社は過剰設伽問題に取り組み、設備能力の削減、需要に見合っての減産で臨み、製品輸出の増加で需給調整に取り組んだ。その結果、需給も締まり業転市況も堅調に推移した。
一方、元売サイドも、価格体系の見直しに取り組み、昨年4月からコスモ、LX、6月から昭和シェル、7月からは出光がブランド料を引き上げ、タイムラグの短縮で対応した。
さらに価格指標を、原油価格、製品市況、他社の動向など、総合的に判断する方式に変更した。当初は業転、先物市況のみを指標にしていたが、安値で推移しマージンが確保できず赤字となった。そのため原油価格などのコスト変則、ブランド料を加算した結果、仕切価格と業転市況との間に価格差が拡大し、販売業者から不満が出てきた。元売もブランド料という表記を変えて販売管理費などとすることで対応している。