2011.05.27 のニュース
HCなどの安値攻勢で系列SSは苦戦 ―業転と系列価格差拡大が問題―
HC、量販店はガソリン133円/Lの安値販売で攻勢をかけている。周辺の系列販売業者から「系列仕切価格と業転市況との間に価格差が拡大しており、HCの安値には対抗できない。元売は業転価格を値上げして仕切価格を調整(値下げ)すべきである」との反発が出ている。
その背景として、先の東日本大震災の際、系列SSは元売の供給カットで休業に追い込まれたが、HCなど元売との特約契約をしていない無印SSが、一時は休業したものの営業を継続したことがある。系列SSからは「ブランド料の支払いと仕切価格が割り高となっており、安定供給が保証されているが、不利になった」としている。
最近はHCが10円以上の安値で販売しており、業転の安値を活用して安値攻勢をかけ、シェアを拡大している。大震災前は、各社の減産効果もあり需給はタイトで推移し、業転市況も堅調であったため末端市況も安定していた。
業転玉の安値は、安定供給・品質面で信頼性を欠くため、ある程度は容認できる。だが、昨年4月に元売が仕切価格体系の見直しを機にブランド料などを加算したことで業転価格に比べて仕切価格は割高となり、価格差は拡大した。
元売も安定した利益を確保するため仕切価格の設定方式を検討、試行錯誤を行なってきたが、ようやく功を奏した。当初は1カ月前の原油価格などコストが変動する月決め方式を導入したが、1ヵ月のタイムラグがあると、コスト変動が先取りされることになり、月末に値上げが見込まれると仮需が発生、値下げが見込まれると買い控えが発生するため、末端市況の形成が難しくなり、元売は値取りができず不利となった。
その後、タイムラグを短くして週決めとしたが、期間が短くなったものの、週末には同じように仮需、買い控えが発生するため、元売が不利となる状況は変わらなかった。そのため直近の業転市況に連動する方式に見直した。
業報市況に連動する新体系は、業転市況と仕切価格とを同水準にすることになった。業転市況に運賃を加算する程度で、その価格差は1~2円であり、販売業者も歓迎した。また、販売業者の大手、小手の価格差が縮小されることになり、いわゆる公平で透明な価格体系として販売業者も評価したが、この方式が機能するには需給がタイトで業転市況が常に堅調であることが前提となる。しかしその後、需給が緩和したため業転市況は低迷、仕切価格は低い水準となり、末端市況も混乱して元売、販売業者とも赤字となった。
そのため、今度はブランド料(販売管理費)を加算する新・新体系に移行、さらに業転市況の他に原油価格などのコストや他社の仕切価格を参考にした仕切価格を設定すること
になった。
元売も赤字で危機感を強め、設備処理、減産による需給調整を行なった成果もあり、その後は業転市況も堅調で推移した。結果、元売は適正マージンを確保することになり、3月期は過去最高の決算となった。
大震災後の状況を踏まえ、販売業者からは「業転は安値となっているため業転を値上げして系列仕切価格を下げるべきである」との意見も出ている。