日刊ニュース

2011.06.03 のニュース

4月大幅減販―前年の反動も― ―今後も減販見通しで需給調整がカギ―

4月の燃料油販売は、1414万KLで、前年同月比で12%減となった。3月11日発生の東日本大震災の影響で福島・原発の事故により電力用C重油が増加したが、他油種は軒並み大幅な減少となった。昨年の4月は冷え込んだこともあって、灯油販売は前年同月比で35%の大幅増、ガソリンは3.5%増、燃料油計で4.2%増という高水準であったが、その反動もあって、前年を大幅に下回った。
 今年の3月販売が6%減であったため、2ヵ月連続して前年を下回ったことになる。3月は年度末でマイナスとなったが、年間では0.5%増となり、8年振りのプラスとなった。大震災の影響で3月末は需給が混乱していたため、減販は、それほど気にすることはなかった。だが、4月は景気の後退、節約の影響が出て大幅な減販となった。5月も販売減が続いており、今後も販売減が続くと見られるが、実際のところ今後の見通しは難しく、未だに23年度以降5年間の需要見通しも策定されていない状況となっている。
 4月販売を油種別にみると、ガソリンが420万KLで前年同月比12%減、灯油は136万KLで23%の大幅減、数量では108万KLの減となった。前年が35%増であったため、その反動も出た。軽油は6%の減、A重油は13%減となった。前年が大幅増販となっているため、その反動で相殺された部分もある。
 唯一増販となったのはC重油で2.4%の増加となった。原発の事故で電力用C重油が増加となった。10電力ベースの受入は51万KLで57%の増加となった。原発事故で原発の発電量が24%減となったため、石炭、LNGの消費が増加したが、石油にシフトしたことになる。原油の生だきも45万KLで57%の増となった。電力用C重油は今後も増販が見込まれるが、大型の広野、鹿島が震災の影響で操業を停止しており、休止している石油火力は点検中であるため、本格的な増販、特需が出るとなるのはこれからである。重油の増産で原油の処理量をアップすることになり、ガソリン、中間留分が供給増となると、市況下落が心配されてくる。各社は重質原油の処理にシフトするなど、対応には苦慮しているが、供給増を警戒して慎重な生産体制で臨む。
 今後の需要見通しは難しいが、大震災の復興、原発事故の収拾、景気の回復などの要因が絡むものの、販売減が続くことは必至である。3製油所が操業を停止している状況下にあるが、各社とも減産、輸出増で対応しているが供給増となっている。今のところ海外の製品市況は高値で輪出可能な状況であり、当面は輸出を頼りにした需給取り組みとなる。
4月の輸出はジェット燃料が39万KLで42%減、軽油が22万KLで70%減となったが、石連週報では両油種がここ1週間で約30万KLを輸出しており増加してきた。
 大震災を機に供給不足と製油所の操業停止で設備過剰問題は中断しているが、操業が再開となれば、再び設備問題が浮上してくる。22年度の元売決算が好決算となったのは、需給が調整されて石油製品のマージンが確保された結果であり、各社とも需給をタイトにしたいとの思惑を持っている。そのため、販売業者が販売減をどこまで我慢できるかにかかっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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