日刊ニュース

2011.07.04 のニュース

系列浮上は元売の義務

 世界の民間石油会社の話である。東の横綱は2008年に469億ドル、09年は197億ドル、そして10年は314億ドルで、3年間の合計は980億ドル。一方の西の横綱は265億ドル、127億ドル、205億ドルで3年合計は597億ドル。3年合計の円換算では、東は8兆3千億円、西は5兆円となる。これが東・エクソンモービル、西・ロイヤルダッチシェルの純利益の推移だ。最近、日本でも下流部門で石油事業を展開し始めた南の新勢力・ペトロブラス。国策会社ではあるが、その10年業績も過去最高益で純利益1.7兆円という。
 世界中の石油メーカーの業績が絶好調だ。原油が08年は過去最高値の150ドルに向かい、10年も100ドル前後に居座っていたから、当然と言えば当然のことだが、特に開発などの最上流部がぶ厚い欧米石油会社の収益は、著しく好調だ。
 JXのそれは08年度が旧2社計で在庫評価が毀損した影響で純損失2924億円、09年度は純利益に転じ731億円、そして統合初年度の10年度は317億円へとジャンプアップした。ただし、世界に伍していくためには、決して大き過ぎる金額ではない。
 ところが、企業努力とは言い難い部分での利幅が大きくなると、その反動は大きくなる傾向がある。米国では、原油高による石油業界の収益に対して、優遇税制を廃したり、特別に税金を課そうとする動きが顕在化し始めている。石油掘削や油田開発・石油精製を手掛ける41社の11年の利益は1348億ドルに達する見込みという。11兆1千億円になる。
 石油会社の利益に対して、過敏な米国の国民性による部分も大きいのだろう。しかし、逆バネが効き過ぎると、それに反発する力か大きく蓄えられる、ということでもある。
 国内元売の高収益の背景は、どのように装飾しようが、大なる部分は仕切りフォーミュラに既存する。どのように体裁を取り繕うとしても系列SSの収益を毀損して底上げされた収益基盤という側面がある。元売はこの収益基盤を崩す必要はないが真剣に、確実に系列SSの収益を積み上げる方策を講じるべきだろう。
 米国における石油と政治・国民の関係ほど冷淡ではなく、我々と元売は、石油に対しては税制、法制など同じ視点である。今年度の系列SS浮上。そのための原資を10年度収益として預託したのだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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