日刊ニュース

2011.07.29 のニュース

ガソリン値上がりで節約を懸念 ―値下げしても増販とならず マージン確保を―

 ガソリン市況は値上がりしており、堅調地区は150円/L台に乗せているが、150円台に乗せると、ユーザーが節約志向に出るのではないかと心配されている。昨年7月の
月次調査価格は136円(石油情報センター調査)、8月は134円であったのに比べると今年の7月は149円で推移しており13円も高い。今後は150円台が見込まれてい
る。昨年7月のガソリン販売数量は530万KLで前年同月比で7.6%増、8月も556万KLで1.7%増となり、2ヵ月間連続で500万KL台を超えて好調で推移してお
り、今年も猛暑となっているため販売業者は増販を期待している。
 安値で販売しても増販は見込めず、元売が「適正マージンの確保に努めるべきである」と要請しているとおり、今のところ仕切価格の値上がりを反映してユーザー転嫁も浸透している。需給が締まり、業転市況が堅調であるため、末端市況も値上がりしている。
 これから夏場商戦は後半戦の8月に入り、旧盆のヤマ場となる。高速道路の割引きも廃止となり、150円の高値が続くと販売数量が落ち込むことも心配となる。車をレジャー
で利用する場合の高値感はガソリン代と他の交通機関の運賃との差であるが、150円台は微妙な分岐点となる。今年の5月は153円まで値上がりし、160円も予想される状
況となっていた。政府も税制改正で160円台が3ヵ月続くと25円(以前も暫定税率分)を引き下げるとしていたが、現実的となるや急遽、この制度を廃止した経緯もある。財源
不足で廃止となったが民主党のマニフェスト違反として批判が出た。08年夏には185円台の高値を経験しているため、150円を超えても実需要は大幅に落ち込むことはないが、販売業者間にあせりが出て価格競争が展開されることが心配である。
 今のところ在庫も低位で推移しており、需給も安定しているため、元売はマージンを確保している。元売は仕切価格の見直しを実施、ブランド料を加算することでマージンを確保、石油本体で利益を確保できる体制を構築している。5月ごろは輸入原油が高値になり、コスト転嫁が遅れて月次決算では赤字となったが、ここにきてマージンは回復している。
 販売業者も元売と同様に適正マージン確保に努めており浸透している。今のところマージンは10円以上は確保しているが、価格競争が激しいため簡単に値崩れすることから予
断を許さない。
 いずれにしてもガソリン販売は、天候が大きく影響するため、今後も猛暑となることが、増販のカギとなる。ここにきて台風の影響で好天気が続いていないため気になるところである。
 一方、原油価格は中東産では110ドル/バーレルの高値が続いている。WTIは99ドル台が続き100ドルに接近しているが、為替が78~79円/ドルの円高で推移しているため仕切価格も横ばいが見込まれている。
 原油価格の見通しはリビア情勢の不安で減産が続き、需給はタイトで値上がりするとの見方もあるが、アメリカの景気回復が遅れ、ギリシャの財政問題が他のEU諸国に影響するなど、需給が緩和して値下がりするとの見方もあり、これらがバランスして高値の横ばいで安定している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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