2011.08.05 のニュース
4~6月決算、在庫評価益で増益
元売の4~6月の決算が発表されたが、セグメント別の石油事業でみると在庫影響を除く実質利益は前年比では大幅減益となった。原油価格はドバイで110ドル/バーレルと前年比30ドル超の値上がりとなり、在庫評価益が発生した。だが、3月11日の東日本大震災を機に、石油の状況は急変した。供給不足と販売減で混乱した4月の燃料油販売数量は、石油統計速報でも前年比12%の大激減となり、5月は2.8%減、6月も2.7%減とマイナスが続いた。ガソリンの4月販売は12%の大幅減となったが、5月が0.5%減、6月は1.7%減とマイナスが続いたが、減少幅は縮小してきた。ガソリン販売は回復の兆しが見えてきたが、今後もマイナスが続くため、増販よりもマージン確保を優先する商法が要請される。販売数量が減少したため市況も下落したこともあり、元売の石油製品マージンが減少したことで減益どなった。
出光の連結営業利益は485億円で前年の312億円に比べると173億円増益となった。数字の上では増益となったが、原油価格の上昇で在庫評価益が343億円あり、これを相殺すると実質の営業利益は142億円で前年の249億円に比べると107億円の減益となった。セグメント別の石油製品では営業利益は380億円となったが、在庫評価益が340億円あり、相殺すると実質の営業利益は、わずか40億円となる。その他の石油化学で11億円、資源で118億円の利益を計上しており、増益となっている。
コスモも連結経常利益は、314億円で前年の152億円に比べると162億円の増益となる。うち在庫評価益が226億円あり、これを相殺すると実質の経常利益は88億円となり、前年の129億円と比べると41億円の減益となる。セグメント別の石油事業でみると経常利益は184億円で前年の92億円に比べると92億円の増益となるが、在庫
評価益が226億円あり、相殺すると実質の経常利益は42億円の赤字となり、111億円の減益となる。石油事業は赤字であるが、石油化学が14億円、石油開発事業が132
億円の利益を計上してカバーしている。
このように石油事業で赤字か、小幅な利益で止まったのは、東日本大震災の影響によるものである。販売減が大きな理由であるが、コスモの場合は千葉製油所の操業停止による
減産、市中買い、輸入によるコスト増などが影響した。その他元売も油槽所の操業停止、SSの被害など影響を受けたことがあげられる。供給不足を解消するため、ローリー輸送、タンカー輸送が拡大したことによるコスト増となった。同時に安定供給の確保でフル生産、輪出の停止で対応したため、2~3週間後には供給過剰となり市況が急落した。そのためマージンが減少して業績を悪化させた。出光では「4~6月は前年に比ベマージンは1円/L程度減少した」とみている。
一時は供給不足を背景に便乗値上げが心配されたが。販売減の供給増で一気に市況が急落したため、その心配は解消した。供給増に対して各社は直ちに減産で対応したのと、製油所の定期修理時期と重なり、6月はガソリン需給が締まり、業転市況が急騰するなど、市場環境は整備されてきた。