2011.08.16 のニュース
仕切価格と業転市況に価格差 ―業転安で系列SSが不利との不満も―
原油価格が急落、業転市況も下落したことから仕切価格は値下がりとなってきた。その結果、ガソリンの末端市況も値下がりしてきた。原油価格は8月入りで大幅な値下がりとなっている。仕切価格が実質値下がりとなるのは13日からであるが、業転市況の値下がりを受けてHC、量販店は、すでに3円程度の値下げに踏み切っている。販売業者サイドからは「原油価格、業転市況が値下がりしているが、系列の仕切価格の値下がりは遅れており、業転市況と系列仕切価格との間に大幅な価格差が生じている。2010年4月から実施された新・新体系にコスモが見直したのを機に、各社が追随してブランド料を加算したため、業転市況に比べ仕切価格が高値となっており不合理である」との反発が出ている。
さらに「市場連動制としているが、以前の業転、先物市況に連動して改定していたが、新・新体系では、原油価格、内外の製品市況、コスト変動など、多くの要因を加味したものもので算出しており、その中身が不透明となっている。そのため仕切価格の変動を見通すことも難しくなっている。」との不満が出ている。
元売の業績は新・新体系に移行したのを機に石油製品のマージンが確保されることになり、平成22年度からは黒字に転換している。23年度の4~6月期も東日水大震災で減販、製油所の停止などによるコスト増で、マージンは減少して厳しいが、在庫評価益もあって黒字となっている。仕切価格の見直しの効果はハッキリと出ている。
一方、販売業者は、市況維持に努めているが、価格競争が激しく低マージンのため、経営は難しく、赤字体質が続いている。それでも8月は夏場商戦のヤマ場である旧盆に入っているため、増販を期待している。この時期での仕切価格の値下がりであるため、増収、増益を狙いたいところであるが、仕切価格の値下がりを先取りして、すでに末端市況では価格競争が始まっている。
街道沿いSSもボトム150円相場が形成されていたが145~7円と値下がりしている。石油情報センターの調査価格(8日)は、平均で151円の横ばいとなったが、その
直後から値下がりしており、7月末から8月にかけて形成されていた151円相場は、15日調査の結果では150円割れとなる公算が強い。
原油価格は、WTIでは7月末が99ドルであったものが79ドルヘと20ドルの急落、中東産は110ドルから100ドルと10ドルの下落となっており、加えて為替は円高で推移しておりコストは減少している。中東産は値下がり幅が少なく、業転市況も7月末までは堅調に推移したこともあり、末端市況は維持された。原油価格は8月入りで急落、WTIは9日には79ドルまで急落したが、2日間で6ドル強の値上がりで11日には85ドル台に戻している。
このように原油価格は乱高下しており、流動的であるため見通し難となっている。このまま原油価格が再度、値上がりするか否かは、しばらく様子をみることになる。原油価格が値下がりすることを前提に現在は市況対策に取り組んでいるが、今後の原油価格の動向を注視すべきである。増販を狙って安値で対応すると、再度値上げ局面となることも予想されるため値下げは仕切価格の値下げの範囲内に止めるべきである。