日刊ニュース

2011.08.19 のニュース

8月入りで原油急落、仕切値上げ ―ガソリン下落で今後の業績に影響―

 原油価格は乱降下しており見通しが難しくなっている。とくにWTIは8月入りで急落、その後は急騰が続いている。7月末が99ドル/バーレル(ドバイは112ドル)であったものが、8月9日には80ドルを割って79ドル(100ドル)と約20ドル(12ドル)の下落、その後は反発し88ドルへ値上がりしたが、16日には86.65ドルに下げている。8月入りで原油価格が急落したことで、仕切価格は値下げとなり、ガソリンの末端市況が値下がりとなったが、7~9月の業績に大きな影響を与えることになりそうである。
 4~6月の原油価格はドバイは111ドルで前年同期で32ドルの値上がり、7月の平均は110ドル(WTIは97ドル)で推移している。8月以降は105ドル程度を見込んでいる。
 WTIが8月入りで79ドル(ドバイは100ドル)まで急落したのは、アメリカの景気回復の遅れ、国債の格付けの引き下げ、株安、ドル安が影響したことによるが、その後は急反発し 88ドルまで値上がりした。ドバイは103ドル、ブレントは109ドル程度で推移しており、WTIとブレントの価格差は21ドルと大幅に拡大し、異常な状態となっている。WTIとドバイ・オマーンとの価格差は15ドル程度あり、これだけ価格差がつくと、WTIは世界の原油価格の指標としての役割を果たさず、アメリカ国内の指標となっている。
 日本の輸入原油は、約90%が中東産であり、ドバイ・オマーンは価格に連動するため、WTIの変動とは関係がなくなっている。ブレント・中東産高のWTI安が続いており、この傾向は今後も続きそうである。
 ブレント高は北アフリカ、中東情勢の不安が反映しており、エジプト、リビアといった産油国での混乱で原油の生産が落ち込んだ。リビアの原油は158万バーレル/日、石油計の生産が約180万バーレル/日、石油全体の輸出は150万バーレル/日で輸出先は欧州が85%を占めており、その影響を受けて北海ブレントのスポットが急騰したものである。
 国内の開発企業、元売の石油開発部門は、開発した原油価格がブレントに連動しており、高値が反映して4~6月の業績は増益どなっている。
 このように原油価格の高騰は開発事業では、4~6月は好決算となった。元売ベースでは原油高は在庫評価益が発生することになり、決算の数字は増益となったが、在庫評価益
を除いた実質の利益は減益か赤字となっている。4~6月は東日本大震災の影響を受けて減販となったことと、石油製品のマージンが悪化したことによるものである。製油所、油槽所の操業停止による輸送コストの増加、供給不足で割高な市中買いを実施したため、コスト高になり、結果的にはマージンが減少することになったのである。
 7月は原油価格が値上がりとなり、仕切価格も値上がりしたため、ガソリンの末端市況も値上がりしたが、8月入りで原油価格が急落したため仕切価格は4円/L強の値下が
りとなっている。末端市況も4~5円の値下がりとなってきた。
 ここで下げ止めとなれば、マージンは確保されるが、これ以上値下がりするとマージンを吐き出すことになるため、販売業者としても正念場となる。猛暑が続き増販が期待されているが、今後は市況維持に努めるべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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