日刊ニュース

2011.08.26 のニュース

ガソリン車の優位性は変わらず ―EV時代の到来は難しい―

 エコカー・ブームによりEV(電気自動車、HV(ハイブリッド車)の普及が注目され、政府は2020年に35%~50%の導入計画(世界では9%普及)を掲げているが、果たして実現が可能であるのか、疑問視するむきもある。そのため「次世代ガソリンーディーゼル車研究会」では、現在の「内燃機関」(エンジン)の技術開発・改善でエコカーとして対応できると紹介している。
 今年に入り、自動車メーカーはガソリン燃費を30km/L(09年の実績値は16.3km/L)を開発・発売している。マツダ・デミオ(乗用車)が30km、ダイハツ・イース(軽自動車)が32kmを、昨年はトヨタ・ヴィッツ(乗用車)が26.5km、ダイハツ・ムーブ(軽自動車)が27kmと、それぞれ30km時代を先取りした低燃費車を発売している。
 また、経産省は、乗用自動車の新燃費基準(トップランナー方式)を19日発表した。2020年を目標年度として20.3kmに引き上げ、09年度の実績である16.3kmに対して24.1%を改善するものであり、この案に対して広く国民がら意見をもとめ、最終案として取りまとめる予定である。
 次世代自動車としてはEV、HV、PHVなどが開発・販売されているが、普及・実用化となると先のことになる。EV普及については元売も先取りしてSSに充電器を設置するなど国の支援を受けて実証実験に取り組んでいる。横浜市などはEV購入に際した補助金を支給している。一方、販売業界でもEVの普及に対しては次世代SSとして検討しているが、EVとなると電気の充電では、利益を確保することが無理であるとみて、EV用の充電器の導入は行なっていない。ガソリンの販売で成り立っているSSは、EV時代が到来すれば、ただ経営が困難であるとの見方となっている。
 自動車メーカーもEVに特化する企業と現行のガソリンエンジンによる省燃費を追求する企業とに分かれており、今後の流れをみることになるが、技術開発が決め手となる。
 今のところ、EVは、①走行距離が短く、長距離の運転ができず制約がある、②そのため近距離の送り迎えのなどの運転に限られる、③カークーラーの使用にも難点がある、④
車両価格が高くトータル費用では割り高である、などのデメリットが指摘されている。
 一方、ガソリン車は、①高速道路、郊外の渋滞のない運転では燃費が良い、②技術開発で燃費の改善が進み、ガソリン代などコストが安くなる、③SSが全国に設置され供給で安定している、などのメリットがある。
 今後もガソリン・エンジンの開発が進むことにより、エンジンの熱効率の向上、排気ガスの減少、燃費の改善によるガソリンの消費減少などコストの大幅な削減が見込まれ、優
位性が保てるため見直すべきとしている。自動車メーカーも、世界的な視野で見れば、現在のガソリン車が普及するとみており開発を進める。
 SS業者としては、省燃費車が増加し、さらに開発が進むとしてもガソリン、軽油の内燃機関の時代が続くとみて経営を続けることになる。そのためにはガソリンの需要は年間
3~4%の減少が続くが、今後も適正マージンの確保、油外収益の増加を狙った経営を続けることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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