2011.09.13 のニュース
ガソリンは減販と市況下落 ―業者、マージン減で苦境に―
仕切価格の値下がりからガソリンは下落しているが、販売業者が適正マージンを確保できるのかが問われている。末端市況が下落しており、仕切価格の値下がり分を上回ってお
り、マージンは減少してきた。さらに販売減となっており、SS経営は厳しくなってきた。
ガソリンのマージンについては一販売SS(フルサービス)では12円/L以上が必要であるとしているが、HC、量販店(セルフ)などは5円で経営が成り立つとしており、その差が7円となっている。
このマージン差が、SS間の価格競争を誘発することになり、安値のセルフSSが優位となっており、高値販売のフルサービスSSが不利となって淘汰された結果、SSが急速に減少した。減少傾同は今後も続きそうである。ピークの6万SSから今年3月末で3万8000SSへと減少している。
ガソリン需要は省燃貨車の普及、人口の減少、若者の車離れなどで減少しており、今後も年間3~4%は減少する見込みで、セルフSSも頭打ちとなり、新設よりも撤退が増加
してきたため総数は減少してきた。
ユーザーもガソリン価格に対しては、敏感に反応しており、2円/Lの価格差で移動するとみられる。元売は、新規カード会員に対して2円引きのキャンペーンを実施しており、2円差で新規ユーザーの確保を狙っているのが実態である。
このようにSS店頭では、常にカード割引きなどの商法が実施されており、市況が安定する期間は短い。仕切価格の値上げでユーザー転嫁に取り組んでいるが、一方では、割引き販売が横行しているため市況対策を難しくしている。最近のように原油価格が変勤し、仕切価格が毎週改定されると、販売業者も市況対策に振り回されることになる。
市況が下落するケースではHC、量販店が先行して値下げする。都心部のSSは、販売数量が少ないのでマージンを確保するには市況を維持することになるため、値下げが遅れることになり、地域価格差が拡大することになる。しかし、地域価格差も長期には維持できず、結局は値下げで対応することになり、ガソリン市況全般が下落することになる。
石油情報センターの平均は147円となり、8月初旬の151円に比べると4円の値下がりとなっている。都心部は150円台も残っているが、街道沿いは140円前後、HC、量販店は135円となっており10円以上の価格差が生じている。
原油価格の値下がりに連動して仕切価格は値下げしているものであり、末端市況の値下がりも仕切値下げの範囲内であればマージンを確保できるが、地域によっては8月初めに比べると10円以上も下落しているため、マージンは確実に減少している。
3月11日の東日本大害災によってガソリンが供給不足になり混乱したが、その後はマージンを確保しており、販売数量は減少したが、マージン増でカバーしてきた。しかし、7~8月の夏場商戦では、前年比では減少したものの、通常に比べれば増販となったため増収、増益となり、一息ついたことになる。だが、8月後半から減販となり、9月も台風の到来で和歌山、奈良、三重県などで大きな被害がでるなど、ガソリンは販売減となりそうである。