2011.09.20 のニュース
安易な増税、転用案に反対する
やはり増税案が出てきた。総額10兆円超といわれる大震災復興のための今年度第3次補正予算の財源として、所得税や法人税などの基幹税増税が唱えられてきたが、その増税幅を圧縮するために、今年10月から導入するはずだった「地球温暖化対策のための税、いわゆる石油石炭税の増税分を転用しようという案だ。
「地球温暖化対策のための税」は昨年末の税制改正作業の際に大議論となり、石油業界も国民や産業界への負担増となるとして、この増税に反対した。最終的に大綱に盛り込ま
れ、今年の通常国会でも政府案として提出されていた。現行の石油石炭税に、CO2排出量に応じた税率を上乗せするもので、原油や石油製品の場合、現在リットル2.04円の石油石炭税に0.76円上乗せし、最終的には2.8円にするという増税案だ。LNGやLPG、さらには石炭にも別枠の石油石炭税が課せられる。
しかし、すべての化石燃料に課税するとなると、国民生活や産業活動に大きな影響が及ぶことから段階的に引き上げる方針とし、当初計画では来月10月1日から0.25円、再来年の13年4月1日からさらに0.25円、最終的には15年4月1日に0.26円上乗せして2.8円にする予定だった。
ところが衆参のねじれ国会の影響で、この増税法案が宙に浮いたままの状態になった。審議すらされていない。このままでは廃案となるところだったが、野田新政権になり、この増税案を成立させ12年度から4年間に限り、その増税分の収入を復興財源に充てられるよう法的措置を講じようという案が出ているという。
所得税や法人税だけでは国民への重税感が強くなるということから、その増税幅を圧縮するために、温暖化対策税などを導入しようということのようだ。本来の目的の軽視であり安易な発想だ。
全石連と油政連は大震災の復興を一刻も早く進めることはなにより優先されるべきであると訴えてきた。同時に、来年度の税制改正要望の第一番目に「復興財源としての石油諸税の増税反対」を掲げた。
もう一度訴えたい。震災復興のための財源は国民が広く平等に負担すべきであり、すでに多重・多段階かつ巨額の税金が課せられている石油製品に、さらに税を上乗せすることは消費者への負担を増大させるものであり、強く反対である。